首都圏の緊急事態宣言はいったん終止符が打たれ、厳しい状況は続いているものの、少しずつ日常を取り戻しつつある毎日が続いていると思います。みなさん、お元気でしょうか?鬼滅の刃やエヴァンゲリオンなど、邦画の勢いがあるのはいいことですが、洋画の上映本数が減っているのが気にかかります。今年は復活してほしいな…という希望から、今回は洋画を取り上げてみました。
「メッセージ」は、異星人とのコンタクトを試みるストーリーですが、「ET」や「スターウォーズ」のようにわかりやすいものではなく、若干難解な映画の部類になるでしょう。ある日突然、奇妙な形をした宇宙船?のような物体が、全世界の12ヶ所に突如現れます。どうやら中には異星人がいるようなのですが、彼らとのコミュニケーションが全く取れず、アメリカにおいては、大学から言語学の権威を招聘します。それが今回の主人公であるルイーズ・バンクス。彼女の他には、物理学者のイアン・ドネリーが呼び出され、この二人で異星人とのコミュニケーションを図ろうと模索します。まずは音声でコミュニケーションを取ろうとするのですが、全く分からず。異星人からは墨絵のような丸い図形が表示されるだけ…そのため、こちらもホワイトボードに単語を書いて、彼らと単語レベルで確認をとりながら進めることに。努力の結果、少しずつ異星人と会話ができるようになり、飛来の目的を尋ねてみたところ「人類に武器を与える」と取れる回答が…。この回答に対して各国の軍隊が、その解釈と対応に翻弄されます。ある国では、これを宣戦布告とみなし、攻撃体制を固めます。しかし、異星人のいう「武器」とは、本当に武器や兵器のことなのか?言葉の齟齬、意味の齟齬はないのか?ルイーズは必死で攻撃を止めるよう軍に訴えます。時を同じくして、異星人と密接にコンタクトを取っていたルイーズに、段々とある能力が宿り始めます。その能力とは?
この映画は、異星人と地球人が、どのようにコミュニケーションを取ることができるのか?コミュニケーションがテーマの一つになっています。実際の皆さんの仕事において、リーダーやプロマネであれば、日々メンバーの方々、それぞれのチームの方々とコミュニケーションを取ることに時間を割くのは、当たり前のことでしょう。ある調査において、プロマネは仕事のほとんどを「コミュニケーションの時間」に費やしているというアンケート結果も出ているくらいです。そう、コミュニケーションする事でプロマネは仕事をまわしているわけで、コミュニケーションこそがプロマネの仕事そのものなのです。そのコミュニケーションに失敗すれば、当然、仕事がうまくいかなくなります。コミュニケーションが上手くいく、すなわち、メンバーに意図が的確に伝わり、指示が的確に適切なタイミングで伝われば、それだけで仕事の成功確率が上がりそうなことは、イメージできると思います(であるからこそ、各社において社員に期待する能力の一つに、コミュニケーション能力があがるわけですが、その深掘りはまた別の機会に)映画とは全く事態は違いますが、今、全世界がコロナ禍で感染者が増えるのを必死に抑えるための様々な対策を、国ごとに打っている状況です。ただ日本においては、政府が行っている対策と方針に対して、効果や実効性を疑ったり、懐疑的に捉えている国民もいます。これは、「政府」と「国民」の間におけるコミュニケーションの齟齬が、このような状況を引き起こしているのではないでしょうか?ある意味マスコミも含めた大きなコミュケーションの齟齬が、無駄な心配や、不要な経済活動の自粛を生み出したりすることにつながったりしている側面があると危惧しています。
映画においてルイーズは、異星人の言語が解読できるようになります。彼らの真の意味を理解できるようになったことで、彼女はある重大な行動に出ます。人類は、異星人に攻撃を仕掛けるのか、あるいは別の方法を取るのか?いわゆるハリウッド映画で期待されるようなドンパチはほとんどありません。一度では理解できない映画かもしれませんが、ぜひ何度も見たり、場合によっては解説サイトなども使って、この映画ならではの楽しみを味わっていただければと思います。