●プロジェクトとは何か?
そもそも、プロジェクトとは何か?PMBOK GUIDEによれば
「A temporary endeavor undertaken to create a unique product, service, or result」
という言葉で説明されています。キーワードは「Temporary」と「Unique」です。
すなわち「有期性」と「独自性」の二つがプロジェクトの特徴といえます。この2つの特徴をしっかり押さえることが肝要です。
「有期性」とは、プロジェクトには、始まりと終わりがあり、決められた一定期間内で要求された成果物(製品やサービス)を生成することが求められます。特に、プロマネはプロジェクトを決められた期間内で終わらせる責任があります。
また「独自性」とは、独自の成果物を生み出すことです。例えば、小生は病院の電子カルテシステムをパッケージで開発した経験があります。パッケージ開発なので、プロジェクトではないと考えられるかもしれませんが、そうではありません。たとえ、パッケージによる開発でも、お客様の要求事項を反映するために、パッケージをカストマイズして、お客様に提供することになり、唯一無二の成果物になります。これを「独自性」といいます。
この2つの特徴から言えることは、
「少ない情報の中で」
「経験がないことを」
「今後何が起こるか分からない状態で未来のシナリオをデザインして」
「要求されたDeliverables(成果物)を納期内に完成させること」
ということになります。世の中に、これほど困難な仕事は他にあるでしょうか? だから、何のマネジメントもしなければ、プロジェクトは100%失敗することになります。
●プロジェクトの本質 ― 不確実性
「経験がない」「何が起こるかわからない」「それでも期限はある」ということは、即ち、不確実な状況のもとで成果を生み出すことをプロマネとしてコミットしなければならないということになります。つまり、プロジェクトの本質は「不確実性」であり、このプロジェクトの不確実性をヤリクリ(マネジメント)しなければ、プロジェクトの成功は無いといっても過言ではありません。
●不確実性コーン
では、プロジェクトを支配する不確実性とは、どのようなものでしょうか。ここに不確実性コーンと言われるフレームワークがあります(円錐形のアイスクリームコーンをイメージしてください)。横軸はプロジェクトのマイルストーン(初期コンセプト、要件定義完了、設計完了など)、縦軸はその時点で見積もったプロジェクトの見積り(スケジュール、工数の見積り)に含まれる誤差の程度をそれぞれ表しています。特に、プロジェクトの初期段階では、見積りのバラツキが1/4〜4倍になる不確実性があります。ということは、その差は16倍もの開きがあることになります。しかしながら、プロジェクトが進むにしたがって、プロジェクト情報が増えて、不確実性のバラツキが減っていきます。例えば、要件完了時には、不確実性のバラツキが2~3倍に減少します。このバラツキが収束する形が、コーンに似ていることから「不確実性のコーン」と呼ばれています(マコネルの不確実性コーンとも呼ばれる)。この大きな不確実性をプロジェクトの前提として、いかに乗りこなすかがプロマネの手腕であり、プロジェクト成功のカギとなります。
●プロジェクトマネジメント ー 不確実性を乗りこなす
ここまで読んでいただいて、プロジェクトの本質は「不確実性」にあり、プロジェクトマネジメントとは「不確実性を敵とみなしてマネジメントする」ことだということが理解していただけたかと思います。孫氏の兵法で言えば、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」ということになります。
「不確実な事象」のことを、「リスク」といいます。リスク・マネジメントは、プロジェクトのスケジュールやコスト、品質のリスクを事前に洗い出して対応策を事前に計画することにより、プロジェクトの成功確率を高めるためのマネジメントツールといえます。
★Tip of the day
●プロジェクトマネジメント ー 不確実性のマネジメント
●プロジェクト成功のためには、不確実性を「敵」とみなしてマネジメントする