2021年が始まりました。今年の最初の題材は「踊る大捜査線シリーズ」などで知られている大ヒットメーカーの本広克行監督による、2006年公開の映画「UDON」を取り上げます。
世界を笑わせるコメディアンを目指していた主人公、松井香助は、失意の中、ニューヨークから実家の香川県へ帰ってきます。うどん屋を営む父親とはほとんど口を利くことができず、またうどん屋という仕事もリスペクトできず…。しかしお金がないため、とにかく働かなくては…と、地元のタウン情報誌でアルバイトを始めます。そのタウン誌の記事をきっかけに、地元のうどん店の多様性、うどんの美味しさが分かり、全国的にもブームとなります。
そんな中、父親が他界。香助は、実家のうどんの味を何も引継げていないにもかかわらず、店の軒先には地元のファンが「またあのうどんが食べたい」と集います。店は畳むつもりで、カレンダーにまで印をつけていたのですが、こうしたファンの声を受けて、一肌脱ごうと腹をくくります。香助は、何となく見ていた父親の姿を思い出しながら「父親の味」を再現する事を試みます。
ですが当然、麺や出汁作りなどのちょっとしたひと手間、勘所がわからず、なかなか思うようにはいきません。周りの助けも借りながら、少しずつ、以前のこの店のうどんの味に近づいてはきたのですが、店を畳む期日は刻々と迫ってきます。
皆さんのお仕事でも、何らかの方法で引継ぎをしたorされた経験があると思います。さらには、引継ぎもなく「(以前、会社でやったことのある仕事と似た)仕事」のリーダーに抜擢されることも…。しかし、当人としては初めての仕事、初めての役割を前任者が手取り足取り教えてくれるのならばまだしも、今どきの職場において、なかなかそのような十分なケアは期待できません。「引継ぎ書」というメモ書きが一枚あるだけでもマシな方で、何の引継ぎ情報もなく「お前に任せた!」と責任を突然押し付けられたり。そうした職場では、新任者は前任者と同じように仕事を立ち上げる事は難しく、おそらく前任者がやらかした失敗をなぞるところから始める事が少なくないと想像します。
しかし、それを「企業」や「組織」という視点で外から見るとどう見えるか?「あそこの組織は、また前と同じ失敗をしているが大丈夫か?他に変えたほうがいいのでは?」となり、前と同じ失敗をする企業や組織に、仕事を任せようとは思いません。
そうした惨事を引き起こさないためには、やり方やノウハウ、勘所といった引継ぎ資料は、誰かが辞めたりするなどの段階ではじめて作るのではなく、その仕事、プロジェクトが終わる際に、毎回きちんと記録を残すこと、ノウハウを残すこと、改善ポイントを洗い出しておくことが重要です。そういう情報を引き出す「場」が、レビュー会や振り返り会と呼ばれる最後の会議。さらに、そこで集まったノウハウ情報も含め、今回の仕事/プロジェクトの記録、それはスケジュールだったりコスト見積りだったり、途中で出てきた課題と解決方法といった様々な情報をまとめた最終報告書となるわけです。
映画に戻りましょう。
とうとう期日がやってきました。うどんの味はどうなったのか?お店の再開を楽しみにしていた人たちは?
この映画を見ると、ちょっとうどんが食べたくなるかもしれません。最近は、おいしいうどんが食べられるリーズナブルなお店が増えてきましたね。
香川県の有名店巡りも楽しみ方のひとつですが、Go To Eatの再開にはまだしばらくかかりそうですし、ご近所で満足できるお店探しをしてみてはいかがですか?