皆さんは「レジリエンス」という言葉はご存知ですか。
レジリエンスとは、もともと物体の備える「反発力」や「弾力性」という意味の言葉で、心理学の世界では「困難から立ち直る力」といった意味合いで使われています。
私たちは仕事を続けていればどこかで、大きな失敗をしてしまったり、誰かとひどくこじれてしまったり、心血を注いできた仕事を取り上げられてしまったり……といった、とてもストレスフルな状況に出くわすことになります。
そんなとき「もう一度立ち直れるかどうか」「その経験を乗り越えられるかどうか」というのは、人生の中でとても重要な力ですよね。
もともと、レジリエンス研究は、戦争や災害などの悲惨な状況にさらされたにも関わらず、その後、精神的に健康に過ごすことができたり、幼少期に劣悪な家庭環境で育ったにも関わらず、その後、健康に成長することができた人たちがいるということへの注目から始まりました。
そしてそのような人たちの備えている特徴や強さとは何なのかを明らかにすることに関心が向けられてきたのです。
しかし、こんなふうに聞くと、「レジリエンスを備えているのは、一部の人並外れて心がタフな人たち」の話と感じてしまうかもしれません。なんだか自分には無理そう……とも。
しかしレジリエンスは誰でも持っている力ですし、何より「関係性」の力でもあります。
私たちがストレスを強く受けとる状況から再び立ち直れるかどうかは、「周囲の人たちがどれくらいサポーティブであるかどうか」にも関係してくるのです。
実際、上記の良好な発達を遂げた子どもたちの特徴として「思いやりのある向社会的な大人との関係」があったかどうかも重要な要素だったそうです。
レジリエンスを「個人の力」とみなすと「立ち直るも立ち直れないも全て自己責任」になってしまいますが、「その個人を取り巻く人たちを含めてのレジリエンス」であれば、私たちは何もスーパーマンになる必要はありません。
よく職場でも、業績が悪化したり、人が足りなくて殺伐としてくると、ストレスを抱えてしんどそうな同僚に対して「あ~あ~、○○さんももうダメかな」といった、突き放した雰囲気が出てくることがあります。
でも実は、その人がその局面を乗り切れるかどうかは、まさにその周囲の対応によるところも大きいわけです。
「大変そうだね、何か手伝えることあるかな」という関わりがあれば、心が折れそうだった人、あるいは一度折れてしまった人が再び立ち上がるきっかけになるかもしれません。
何かと大変な時代、お互いのレジリエンスを補い合う関係を目指していきたいですね!