先日、研修でこんなご質問をいただきました。
コーチングなどの対人関係スキルでは、「褒める」ことの重要性や、その効果を体験してもらっているのですが…
「褒めることの重要性はよくわかりました。ただ、自分が関わっているメンバーは、褒めても嬉しそうな顔をしないんです。それでも褒めたほうがいいんでしょうか」
そうですね、このような質問はときどきいただきます。
褒めたほうは良かれと思って、ときには慣れないことを頑張ってやってみたのに、その反応がいまいちだと「なんだかなぁ」と思って褒める気がなくなってしまいますよね。
嬉しそうな顔をしない理由にはいくつか考えられます。
あまり褒めてもらっても本人にはピンとこないポイントだったとか、褒められるほどよくできたと思っていないとか。
または褒められるとそのあとに何かを要求されることが多かったので警戒しているとか、褒められたときにどう振る舞っていいかわからないので無表情にやり過ごしてしまうとか。
その方が実際がどうなのかはわかりませんが、いずれにしても「だからと言って褒めることが無駄」にはなりません。
本人にとってピンポイントかどうかは投げてみないとわかりませんし、辛口になりがちな自己評価を揺さぶるのだって大事です。
褒められたあとにいつも何かを要求されることで警戒している人には、「私はそういうつもりではなくて、単純に褒めたいと思ったから褒めたんだよ」ということを知ってもらう必要があります。
どう振る舞っていいかわからない人は、褒められ方を知らないだけですから、あなたが褒められたときに「嬉しいな。そういってもらえると励みになるよ」などとリアクションして、お手本を見せていくようにしましょう。
こんなふうに、その褒め言葉が本心でありさえすれば、すかさず気持ちよく受け取ってくれるかどうかは別として、伝えることそのものに悪いことはありません。
褒められたときには「う~ん、そうかなぁ」と思ってすぐには受け取らなかったことも、後になって「やっぱりそうかも」と思えてあとでしみじみ味わってくれていることもあります。
褒め言葉は「あとで効いてくる」のです。
その場でスッと喜んでくれなかったとしても、「その人にはその人のタイミングがある」と思って、ぜひこれからも「褒める」を続けてみてくださいね!