さて、リモートワークが続いている人も多いと思われますが、皆様、仕事は充実していますか。
仕事を進める上では大きな支障はないけれど、「なんだかちょっと物足りない」という気持ちの人も少なくないはず。
ところで心理学には「交流分析」という一般向けでフレンドリーな領域があるのですが、そこでは心の中にPとAとCの「3つの自分」がいると考えます。
「P」はParentの頭文字で、親のように厳しく優しく、自他に関わる部分です。
「A」はAdultの頭文字で、物事に理性的、合理的に取り組む冷静な部分です。
「C」はChildの頭文字で、子どものように楽しんだり甘えたりする部分です。
この「3つの自分」は、それぞれ発揮できるチャンスがあると毎日が充実します。
人間関係もイキイキしてきます。
たとえば打ち合わせで真面目で固い話が続くと、なんとか笑いを取りたくなりますよね(なりませんか? 私はなるんです)。
真面目な「A」の部分だけではなくて、「C」の部分も見せてもらえると、ぐっと風通しが良くなって、会話も弾みます。
ところがリモートワークだと、「A」の部分だけでコミュニケ―ションすることが多くなります。
・オンライン会議で確認事項を一つずつ片付けていって、終わったら「次の会議があるんで」とプチッと切る
・「ご様子はいかがでしょうか」「~~していただけますと幸いです」と配慮の行き渡ったセンテンスでメールを送り、美しくやりとりを完了させる
・急にかかってきた電話で、同僚から「あれどうなってましたっけ」と聞かれて、必要な情報を伝えると「助かりました、では!」と会話が終了する
これで問題はありません。仕事自体はうまく回っています。
けど…なんだかこれだけだとつまらない。
だって、本当だったら、仕事をしながら、隙をみて冗談をとばして笑いあったり、くだらない話で盛り上がりたいじゃないですか。
うまくいかなかった会議後に、移動しながらポロッと「でもあのアイデアよかったよ」と言ってもらって「ですよね!!」と尻尾をぶんぶん振りたいじゃないですか。
礼儀正しく会話を終えて電話を切った一瞬後、「もう、何でこうなるかな~!」とこぼして、「まあまあ」と隣の同僚に慰めてもらいたいじゃないですか。
こんな「C」の部分を表に出すチャンスがリモートワークだと少なくなりがちです。
もしくは、職場の新しいメンバーがクセのある人とのやりとりで困っていたら「○○さんにはこうアプローチすればいいんですよ」と先輩風を吹かせてみたり、目の下のクマを濃くしている同僚には「疲れてそうだね。ちょっと休んだら?」と優しく気遣ってみたりしたいものです。
こんなふうに、「P」の部分を発揮するチャンスもやっぱり少なくなりがちです。
予定された会議やセッティングされた時間の外にこそ、「P」や「C」の、人間らしい顔をのぞかせるチャンスが隠されていたはずです。
ですので、「仕事は問題なくできているけれども、なんだかつまらない」という方は、意識して「P」や「C」から振る舞うチャンスを自分に作っていきましょう。
・同僚との電話で、本題のあとに砕けた会話を振ってみる(C)
・オンライン会議で共有画面ばかりでなく、相手の表情もよく観察しておき、気になったらそっと声をかけてみる(P)
など、オンラインでもできる工夫はありそうです。
自分の中にある「いろいろな顔を楽しむ」ことは、仕事を充実させる上で大事なポイントです。
単調な「A」の生活になりがちな現在、ぜひ「P」や「C」の自分も味わうチャンスを作ってみてくださいね!