今回取り上げる作品は、もともとは舞台劇として書き下ろされたシナリオだったようですが、1991年に映画化されたコメディです。すでに現実の日本でも裁判員制度が導入されて久しいですが、映画上映当時はまだそのような制度はありませんでした。そこでこの映画では、もしも日本に陪審員制度があったとしたら?という架空の世界の物語として描かれています。とある被告の有罪、無罪をめぐってどんなドタバタが起こるのか?そしてそんなドタバタ劇とプロジェクトは、どう関係するのでしょうか?
12人の陪審員が全員同じ部屋に集まるところから話は始まります。今回裁かれるべき被告は有罪か無罪か?それを陪審員決議として決めるための集まりです。さっそく陪審員長が、「ではまず、今回の被告が、有罪か?無罪か?で決を採りましょう」として挙手を指示します。結果は…
全員一致で無罪。まだ何も議論していないのですが…笑
事実上、決が出たのでみなさん解散して帰ろうとしました。が、そんな中、陪審員の一人が異議を唱えます。「これでいいのか?僕は議論がしたい」と。しかし全員一致で無罪。そこでその一人が「それでは僕は、有罪に意見を変えます!」…と、ここから話がややこしくなるわけです。
一人一人に無罪に手を挙げた理由を聞いてみると、なんとなくといったフィーリングで無罪を主張する人、早く帰りたくて無罪を主張する人、被告や証人の発言記録から無罪を主張する人等々。それでも納得できずに議論したくて有罪を主張する人、意見がぶつかり合います。いったいどこに帰着するのかまだまだ先が長いようです。
ここでいつものように、私たちの仕事の現場を振り返ってみましょう。
皆さんそれぞれが携わっている仕事の中で、プロジェクトチーム内で意見が対立したり、メンバーから反対意見が出ることは、あってもおかしくない事。こうした意見のぶつかり合いを、「コンフリクト」と呼ぶことがあります。これを放っておくと、意見が対立したままになってしまい、チームとしての雰囲気も悪化するため、何とかぶつかっている意見を解消していかなくてはなりません。
そうした解消手法には、大きく分けて5つの方法があるとされており、「協力(問題解決)」、「強制(指示)」、「鎮静(適応)」、「撤退(回避)」、「妥協(和解)」に分類されます。
もうお分かりの通り、目指すべき良い解決策としては「協力(問題解決)」を目指すべき。その「課題」に徹底的に向き合って、納得できる解を引き出すことが理想です。
今回のこの映画は、ある意味、このコンフリクト時のぶつかり合いを、面白おかしく会話劇として描くことにより、ストーリーを展開していたわけです。
再び映画に戻りましょう。
陪審員どうしで意見を交換するうちに、事件当時の詳しい状況分析が可能になってきました。状況を細かく分析することで有罪の可能性も見えてきた。自分の意見を無罪から有罪に変える人も出てきました。そして陪審員の判断結果は有罪か、無罪か…。
いつものことですが、それはぜひこの映画をご覧になって結果を確認していただきたいと思います。
コロナ禍も3年目に突入。そろそろ仕事も経済もエンターテインメントも正常化して来る時期が近づいてきていると期待しています。それでは次回をお楽しみに。