最近、とても胸に染みる言葉を一つ聞いたのでご紹介したいと思います。
それは「振り返ったときの視力は2.0」というもの。
例えば何か思うように行かなかったことがあると、私たちはその状況を後から振り返っていろいろと考えますよね。
「う~ん、なんであのとき思わずこう言っちゃったんだろう…こういう言い方もあったはずなのに」とか、「あのときこうしておけばよかったのにな~」など。
私も研修やコーチングなど日々の仕事で、思うようにいかなかったときは、しょっちゅう後からあれこれ考えてしまいます。
しかし!忘れてはならないのは、そのときの私たちは驚異的な視力を手にしているということ!
振り返ったときは、すべてのことが済んだ後ですから、結末も分かったうえで落ち着いてプレイバックできます。
そのとき目に映らなかった部分も、カメラのフォーカスを広げて広範囲に見渡すことができます。
気になるところをズームアップして、映り込んだものを詳細に点検することもできます。
そうすると当然、「その時には気づかなかったこと」もよく目に飛び込むようになるわけです。
問題が生じつつある兆候ですとか、状況が改善できたかもしれない転換点ですとか。
ミステリを読むときに、ラストを知ったうえでもう一度冒頭から読み直せば、様々に散りばめられた布石やら伏線やらに今度は気づけるのと一緒です。
かくして、頭の中で反芻するたびに「もっとああすればよかった!」という後悔がたくさん噴出するわけです。
しかしこのように、振り返った時のほうが物事をよく見通せるのは当然です。
渦中の時は、急に持ち上がった出来事に対処するだけで精一杯です。
リアルタイムで進行しているのに、結末を見通して重要な兆候だけを拾うことはできません。
登場人物の心境はセリフもないのにすべて推し量れるはずもありません。
それなのに、そのときの自分に対して「もっと~~すればよかった」と責めるのはちょっと酷ではないでしょうか。
もちろんうまくいかなかったことを振り返って、次に向けた改善点を得ることは大事です。
ただ、そんなときも「そのときは常にベストを尽くしている」ということを忘れずにいてほしいのです。
「いやぁ、今回はこんな顛末になってしまって残念だったな…。でもその時の自分はやれる限りのことをやったんだよね。次はこうしたいけど、まずは今回の自分、お疲れ様!」と思いやりをかけてあげたいですね。
「振り返ったときの視力は2.0」ということを忘れずに、自分をねぎらいながら精進していきましょう!