以前、講座でいただいた質問で印象に残っているものがあります。
それはこんなご質問でした。
「ストレスをマネジメントするうえで、睡眠時間をきちんととることや、仕事から離れたリフレッシュの時間を持つことの重要性はわかりました。
でも、私は毎日夜遅くまで仕事をしていて、帰宅してから時間がなく、リフレッシュのための時間を持とうとすると睡眠時間を削るしかなくなってしまいます。睡眠時間とリフレッシュの時間、どちらを優先すべきでしょうか?」
皆さんはどう思いますか?
睡眠時間を優先すべきでしょうか?
それともリフレッシュ(運動や趣味、家族との会話など)の時間を優先すべきでしょうか?
この質問をいただいて私が思ったのは、
「そもそもこの2択ってどっちを選んでも正解じゃないのでは…?」ということでした。
睡眠時間もリフレッシュの時間も、どちらも人間らしい生活を送るうえで必須のものです。
どちらかだけを選んでも本当に良い状態にはなれません。
ただ、きっとその方は、そのような問いの立て方しか思いつかないほど、切羽詰まっていたのだろうと思います。
自分でもときどき、「Aすべきか、Bすべきか、でもAを選んでもこうだし、Bを選んでもこうだし…」と悩んでいることがあります。
そんなときはだいたい、設問そのものが狭い視野からなされていることが多いものです。
どちらを選んでも本当に幸せにはなれないような2択の設問に悩んでいたら、それは「そもそもそのような問いの立て方に陥っていること」を疑うべきではないでしょうか。
究極の2択は、そもそも「迫られない」のがベストです。
迫られてしまったあとでは、どちらを選んでもベストアンサーにはなりえません。
ストレスがかかると、私たちの思考は柔軟性を失い、極端に走りやすくなります。
曖昧さやグレーさにしびれをきらし、白黒をつけたくなり、本来有益ではない2択を自分に迫りだすかもしれません。
「究極の2択」を自分に知らず知らず迫っていたら、いったん頭を上げて深呼吸して、あたりを広く見回してみませんか!