Aさんという方がいたとします。
Aさんがかつて面倒を見ていた部下の方が仕事を辞めたのですが、そのあと半年以上就職をしていないそう。辞めた後もちょくちょく会う機会があり、その方に「早く就職したらどうだ」と伝えたいのだとのこと。
このような状況は、似たパターンでたくさんお聞きするのですが、皆さんだったらどう伝えますか?
【Take1】
Aさん「こないだ小耳に挟んだけど、まだ就職していないんだってね」
元部下「ええ、働かなきゃなとは思うんですが、どうも腰が上がらなくて・・・」
Aさん「そうだよねぇ。働くって大変だしねぇ。いや何も就職しろって話じゃないんだよ、会社勤めばかりが人生じゃないからね…。でも最近は技術の変化も早いからねぇ…。まぁでも少しはゆっくりするのもいいのかな…」
あれれ、ちょっと待って!
もともと「早く就職したらどうだ」という話がしたかったんですよね?
私たちは相手の事情や気持ちがわかるだけに、それに反するようなことは言いにくく、つい「それもありだね」と物わかりの良いふりをしてしまいます。
とくに時代の価値観が自分とは異なる方向に向かっているようなとき、自分の価値観が野暮ったく、古くて、頭の固い人間のような気持ちがしてしまうこともあります。
でも、どっちなんだかわからないことを言って無難に済ますより、本当にその人に伝えたいメッセージがあるならば、「物わかりの良い人」になりたい気持ちは、少し横に置いておきませんか。
【Take2】
Aさん「こないだ小耳に挟んだけど、まだ就職していないんだってね」
元部下「ええ、働かなきゃなとは思うんですが、どうも腰が上がらなくて・・・」
Aさん「確かにまた働き出すのはエネルギーがいるよね。ただ私はあなたがまだ就職してないと聞いて驚いたよ。○○君ほど技術がある人が働かないのはもったいない。このままずるずるいくのは心配だよ。早く仕事を見つけなさい」
うん、これでこそ明確なメッセージです。
もちろん、元部下の方には働く自由も働かない自由もあります。
ただ、Aさんとしては、投げるべき球をきちんと投げることができました。
その上でなら、元部下の方がどういう選択をしたとしても、きっとAさんは納得できるでしょう。
相手に本当に伝えたいことがあるなら、「物わかりの良い人」のふりは止めて、自分の気持ちを真正面から伝えてみてくださいね。