さて、今日はメンタルヘルスの対応について、マネジャーや管理職の皆様が知っておくと、気持ちが楽になるポイントを一つお伝えしてみたいと思います。
それは「疾病性」と「事例性」を区別するということ。
どちらも初めて聞く言葉かもしれませんね。
部下の方でメンタルヘルスが気になる方がいらした場合、皆様はこんなふうに考えるかもしれません。
「これはやっぱりうつ病だろうか、それならそうとはっきりさせて対応しないと」
「うつの症状は『眠れない』とか『気分が落ち込む』とかがポイントらしいな。それとなく聞いてみるか」
「原因はなんだろう・・・残業時間が長かったからな…でも家庭でもトラブルがあったらしいし…」
こんなふうに「何の病気か」「どんな症状か」「何が原因か」ということを考えて、部下に確認しようとしたり、自分がそれを明らかにしなくては…と背負い込んでしまうかもしれません。
しかし、これは本来誰の仕事でしょうか。これはお医者さんの仕事ですね。
このように病気の実態や症状、原因を明らかにしたり把握するのは「疾病性」の観点です。
一方、管理職の皆様が明らかにしたり、把握すべきは「事例性」の観点です。
「ここ1ヵ月で遅刻や休みが急に増えた」
「いつもならすぐ終わる仕事に時間がかかるようになった」
「書類に今まで見られなかった単純ミスが増えている」
「お客様と電話で喧嘩腰で話しているのを耳にした」
など、仕事をこなすうえで具体的に生じている問題を把握するのが「事例性」の観点です。
この観点から見て問題があるなら、本人と話して、業務遂行にあたって何か問題が生じているのかや、管理職としてサポートしたほうがいいことがあるのかを確認しますよね。
そのうえで、「どうも業務上の問題解決だけではうまくいかなそうだ…」という場合には、「一度診てもらったらどうか」と受診を勧め、本人にきちんと働けるよう対応を促すという流れになります。
管理職の皆さんが「心の専門家」になる必要はありません。
管理職の皆さんは「マネジメントの専門家」です。
「メンタルヘルスの問題ってよくわからない、どうしよう…」から、「マネジメントの問題だったら基本はいつもと同じだ、よしこうしよう」への転換を図ってみてくださいね!