●はじめに
システム開発のプロジェクトにおいては、さまざまな予想外の問題が発生して、修羅場(プロジェクトの炎上)になることがあります。例えば
・モンスター顧客による、過大な機能要求
・顧客からの無理な納期短縮要請
・C/O直前の機能追加や変更(ちゃぶ台ひっくり返し)
・開発ベンダーの倒産によるメンバーの離脱
等、数え上げれば切りがありません。このような修羅場に対して、リーダーシップを発揮して、修羅場を乗り越え、プロジェクトを成功に導く「出来るプロマネの哲学」について、話を進めたいと思います。
●出来るプロマネの哲学(心構え) ~ 出来るプロマネに必要な3つの哲学
1.持論を持つ(プロジェクトに正解はないので自分なりの仕事のやり方やルールを持つ)
マネジメントの大家であるドラッカーも、「問題に対する答えが1つではないという事こそマネジメントの特徴がある」と述べています。開発規模や、プロジェクト環境が異なれば、問題発生時の対応も異なります。過去うまくいったことが今回もうまくいくとは限らないという認識が必要です。
例えば、要件定義の進め方についても、プロジェクトの特性に応じて臨機応変に対応することが必要です。一般的には、アンケートやインタビューで要件を纏めるという手法もありますが、ステーク・ホルダーが多い場合は、現実的なやり方とは言えません。小生は、病院システムの開発に携わった際は、ステーク・ホルダーの数が多く、全員からヒアリングすることは時間的に困難と判断しました。そこで少人数のワーキング・グループを結成して、要求事項を収集し、経営層によるステコミで要求事項の優先順位を決めて絞り込むことにより、予定の期間内で要件定義を実施することができました。従来のやり方にこだわらず、プロジェクトの環境に合わせて、仕事の進め方を臨機応変に変える必要があるというのは、小生の持論です。また、振り返りを行うことにより、持論をBrush upしていきます。
2.コミュニケーションを通してステーク・ホルダーを動かす(上も下も動かす)
プロジェクトを成功に導く最大の要素は、ステーク・ホルダーとのコミュニケーションです。失敗するプロジェクトの大半は、ステーク・ホルダーとの「コミュニケーション不全」が原因です。出来るプロマネは、コミュニケーションに80~90%の時間を費やしています。プロジェクトメンバーとのコミュニケーションや、上司とのコミュニケーションも必要です。
更に、小生の経験からいえば、「上の上」とのコミュニケーションも肝要です。プロマネとしては、直属上司だけでなく、上司の上司とのコミュニケーションも視野に入れる必要があります。
3.出来ない理由ではなく、どうしたら出来るかを常に考える(Why can’t → How canマインド)
プロジェクトでは、いろんな課題・問題が発生します。それに対して、できない理由を考えるのではなく、どうしたら出来るかを前向きに考えることが肝要です。
いわゆる、Negative思考→Positive思考へのビリーフ・チェンジが必要です。技術的に解決できない場合でも、政治的に解決できる場合があります。必ず解決できると信念を持つことが必要です。そのような諦めない姿勢が、周りのステーク・ホルダーを動かしていくことになります。
Tip of the day
●出来るプロマネは「自分の哲学」を持つ
●どんな問題でも、必ず解決策があると信じること(Never Give upの精神)