さて、2022年も終わりを迎えようとしておりますが、皆さんの1年はいかがでしたか?
「いい年だった!」という人も「大変だった…」という人もいらっしゃるでしょうが、「どうもこうも、はっきりしない1年だったなぁ…」という人も多いかもしれませんね。
そろそろコロナも収束するかと思いきや、また感染の波が来る繰り返しです。
「よし、今まで我慢してきたことを思いっきりやるぞ!」と立ち上がりかけたら
「やっぱりまだ?」と腰を落とすような、まさに「中腰」の姿勢が多かったかもしれません。
この「中腰で耐える」というのは、精神科医の春日武彦さんと仏文学者の内田樹さんの対談の中で交わされていた言葉なのですが、私はよく折にふれ思い出します。
この白黒はっきりつかない状況というのは辛いんですよね。
「安心していいのか、まだ緊張していなくてはいけないのかわからない」という状態に耐えるのはとてもエネルギーがいります。
私も例えば、時間をかけて作り込んだ新しい研修を実施したあとなど、その結果がすごく気になるわけですが、なかなかアンケートが集まらなかったりするとこの待ち時間が辛い(笑)
「良かったのかなぁ、悪かったのかなぁ」「喜んでいいのかなぁ、ダメなのかなぁ」という曖昧さや不安に耐えなければいけないんですよね。
皆さんも、例えば自分が精一杯準備して提案した案件について、提案が通ったのだろうかダメなのだろうか、通ったとしても自分の考えた通りにやらせてくれるのだろうか、それともいろいろ横やりが入って全然違う形になってしまうのだろうか…
などと、もどかしい思いで待ったことがあるのではないでしょうか。
あるいは、部下の仕事の仕方に対して、勇気を出して注意を伝えてみたけれど、相手に響いたのかどうかよくわからない。
「待っていたら変わるのか、そうでもないのか…」とじれったく思ったことがあるのではないでしょうか。
それでなくても、ビジネスパーソンの私たちは物事をどんどん処理していったり、「こういうときはハイこれね」とスパスパ解決していくことをよしとしています。
「待つ」という受け身の姿勢はとても不慣れです。
しかしこの「曖昧さに耐える」というのは、ビジネスシーンではあまり重視されませんが、実は一つの「心の力」です。
皆さんもストレスがかかって「心の力」が弱まっているときは、「どっちなの、はっきりしてよ!」と曖昧な状態に耐え切れず、白黒つけることを求めたくなったりしませんか?
これは「白黒思考(All or Nothing thinking)」といって、心が不健康なときに出てきやすい思考法なのです。
なので、「いいとも悪いともつかないけれど、もう少し待つか」と宙ぶらりんの状態を宙ぶらりんの状態のままにしておけるのは、私たちの大事な心の力なのです。
はっきりしないのは辛いけれど、人生の中ではそういうことがしばしば訪れます。
そんなときに「ここは中腰で耐えるときだな!」と、心の筋トレに励んでみません
か!