今回は典型的な西部劇を題材にしたいと思います。
本作はクリント・イーストウッド主演ということでも有名ですし、使われている音楽は、最近「映画が恋した音楽家」という映画にもなっています。また「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽でもおなじみの、エンニオ・モリコーネ作曲ということとしても、ご存じの方も多いのではないでしょうか。とはいえ、中身はいわゆる「西部劇」。こんな古典的なマカロニウエスタンものの、いったいどこにプロジェクトマネジメント要素が?と思われるかもしれません。それでは紐解いてみたいと思います。
舞台は西部。お尋ね者(荒くれ者)で困っている町は、保安官の手に負えないやつらに懸賞金をかけて、賞金稼ぎに委ねます。そんな10000ドルの賞金がかかったインディオ一味がいることを聞きつけた賞金稼ぎ(ダグラス)が、町にやってきます。
ただ、賞金を稼ぎたいのは彼一人ではありません、また別の賞金稼ぎ(モンコ)もやってきます。この二人はひょんなことから手を組んで、二人でお尋ね者をつかまえて、賞金を山分けにしようと企みます。作戦は、モンコを一味の中に潜入させて、襲撃を待ち構えてとっ捕まえるという寸法です。が、なかなかそううまくはいきません。作戦が失敗に終わったことで、この二人は手を切ろうとするのですが…。といった流れで話が進みます。
さて、こうした劇中の中で、いわゆるお尋ね者が「WANTED(おたずねもの)」として似顔絵で、懸賞金10000ドル、といった形で貼りだされていたりしますよね。その『懸賞金(REWARD)』に注目してみたわけです。
このような映画の中ではREWARDは「懸賞金」と訳されますが、プロジェクトチームを運営する術の一つとしては、REWARDは「報奨」と訳されていたりします。これは皆さんご想像の通り、その仕事の中において、特定の成果に向けての動機付けが目的で設定されているもの。パフォーマンスや行動様式の強化のために使われる技法、として捉えることができるのです。
皆さんの会社の中においても、たとえば営業部の中で、半期の売り上げ最多を記録した人に「トップ賞」等と名付けて、「寸志」や「金一封」といった形で報奨を受け取っている場面を見たことはありませんか?まさにこれが「報奨」であり、REWARD(リワード)なわけです。会社や部署によって値段や中身は様々ですが、何もないよりは、「貰えるんなら、がんばってみちゃう?」という人も少なくないはずです。まさにそんな形で、仕事の動機付け、パフォーマンス向上を狙っているわけです。
映画の中においてはもちろん、「報奨」ならぬ「懸賞金」。賞金稼ぎで生計を立てようとお尋ね者を探して歩く腕に自信のある懸賞金稼ぎに、保安官のみでは対応できない地域の荒くれ者を託そうと懸賞金をかけることで、賞金稼ぎに動いてもらう動機付けをしているわけです。
コロナ禍の時間も、約3年が経とうとしています。この間、人々が近づきすぎることなく、場合によってはそれぞれが在宅勤務などで働く事ができるという形に、仕事の形態も進化してきました。それによって、通勤時間が大きく軽減されたなどのメリットも出ている反面、一人で孤独に作業することによるパフォーマンス低下、モチベーション低下などといったデメリットも見えてきています。もちろん、そろそろ以前と近しい形でオフィスに人が戻る働き方も戻ってくるとは思いますが、在宅勤務の現実がここまで広がったことで、これが全くなくなってしまう世界に戻ってしまうことはないでしょう。そうなったとしても、プロジェクトチームとして、メンバーをどう鼓舞していくのか、彼らのそれぞれの成果を認め、称え、モチベーションを上げていくのか。コミュニケーションの時間を増やす以外でのやり方も、今一度考えてみてはいかがでしょうか?