さて、私たちの会話では、不満な気持ちが高まるとどうしても「トゲ」がたくさん刺さってしまいがちです。
Aさん「Bさんがいつまでも作業を放っておくから、毎回こっちがフォローをさせられるんでしょう!」
Bさん「Aさんこそ、自分がたまたま気になったときに『どうなってる』ってせっついてきて、人のペースをかき乱すんじゃないですか!」
チーム内でこのようなトゲつきの球で合戦が起こってしまうと、マネジャーやリーダーとしては困ってしまいますよね。
会話の中から「トゲ」を抜きつつ、お互いが本当に伝えたかったことを分かり合えるようにすることができないでしょうか。
こんなとき、「リフレーミング」が役に立ちます。
私たちは自分なりの枠組み(フレーム)を持って、世の中や相手を見ています。
不満が溜まっているようなとき、どうしても相手を見るフレームは歪んでしまい、相手が何をしても悪意に満ちているように見えてしまいます。
そこでそのフレームを変えてみることを「リフレーミング」といいます。
いわば「トゲ抜き」をするわけです。
リフレーミングには、誇張表現や非難のニュアンスが込められた言葉を言い換えるやり方や、会話の焦点を当て直すことが含まれます。
では早速、先ほどの会話の間に入って、リフレ―ミングをしてみましょう。
Aさん「Bさんがいつまでも作業を放っておくから、毎回こっちがフォローをさせられるんでしょう!」
(言い換え)「Aさんは、そのときBさんが作業に手をつけていないと心配になって、その都度フォローをしてきたと感じているのですね」
(焦点の当て直し)「Aさんは、Bさんが作業に着手したことがわかると安心できるのですね」
Bさん「Aさんこそ、自分がたまたま気になったときに『どうなってる』ってせっついてきて、人のペースをかき乱すんじゃないですか!」
(言い換え)「Bさんは、Aさんが確認したいときがわからないので、『どうなってる』と進捗を聞かれると、焦ってしまうのですね」
(焦点の当て直し)「Bさんは、Aさんが確認したいときがわかると、落ち着いて進められるのですね」
いかがでしょう。
こうすると、さっきの応酬では見えていなかった「相手の気持ち」が双方に届いたのではないでしょうか。
また「Aさんが悪い」「Bさんが悪い」という合戦から、「お互いの進捗状況/確認したいタイミングがわかるようにするにはどうしたらいいか」という建設的な話し合いにも変わっていきます。
これは先日ご紹介した「ミディエーション」のスキルの一つではありますが、日常の小さな瞬間でできる「いざこざほぐし」のスキルです。
トゲつき球の飛び交う場に居合わせたら、ぜひトゲ抜きしてあげてみてくださいね!