外注先を適切にマネジメントできず、プロジェクトが失敗するケースが多発しています。大手電機メーカーA社での外注先マネジメントの失敗ケースでは何が起きたのか、そして、なぜ起きたのか考えてみましょう。
プロジェクトの成功率を上げる上で、過去の失敗から学ぶことは大変重要です。
そこには多くの教訓があり、それに気づき、意識していれば、多くの失敗を回避できるはずです。
ある大手電機メーカーA社での外注先マネジメントの失敗ケースを考えてみましょう。
A社では、新機種のハードウェア商品化を進めていました。商品化プロジェクト全体は自社内でまとめる一方、ソフト、ハードの大部分は国内外の外注先から調達していました。
現行の外注先B社もその一つでした。
B社とはこれまでの取引の実績があったので、A社ではこう考えていました。
「B社は、今回の案件も、いつもと同じように進めてくれるはず…」
「B社は、A社の要求を理解しているはず…」
「B社は、きちんと自主的にやってくれるはず…」
「B社に細かく指示している時間もないし必要ないだろう…」
本当でしょうか?
実際には、期待に反し、多くの事件、事故が発生しました。
「言った、言わない。聞いてない…」
「品質、コスト、納期が、A社の要求通りに達成されない…」
「B社のトラブル対応で、余計な仕事が増えた。 A社内の工数が削減されるはずだったのに…」
「コストダウンするはずが、逆にアップした…」
「思ったより、B社の技術スキルが低い…」
「思ったより、B社のマネジメントレベルが低い…」
「B社で組織変更があり、よくわかっているメンバーがいなくなった…」
「問題発生時のB社の対応が遅すぎる…」
「本来、B社の責任範囲なのに、A社の責任かのような形になっている…」
「B社社内業務にどこまで介入すべきかわからない…」
「いつまでたっても品質が悪く、パッチワークが続く…」
「他の外注先に切り替えたいが、簡単にできない…」
「訴訟直前になる…」
実話です。
何が問題なのでしょうか?
外注先の管理は「成り行き任せ」にしては、必ず失敗します。
必要なこと、それは、「自社のQCD(品質・コスト・納期)要求を満足する製品、サービス、労働力を外部から調達するため、外注先を適切にマネジメントする上でで必要な全体プロセスと具体的なアクションについて理解すること」です。
現場が具体的に取るべきアクション、例えば、「明確な変更管理」「契約との明確な紐づけ」「外注先からのレポーティングの明確な取決め」「曖昧さのない検収手順書」…、体系的にやるべきことは数多くあります。
皆様のお仕事でも必要な場面は多いのではないですか?
■サマリー
外注先の管理は「成り行き任せ」にしては、必ず失敗します。
自社のQCD要求を満足する製品やサービスを外部調達するためには、外注先を適切にマネジメントする上で必要な全体プロセスと具体的なアクションについて理解することが大切です。