●はじめに
プロジェクト成功のためには、顧客との信頼関係を構築して、顧客を「自分の味方」にすることがプロジェクト成功のCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)です。
今回は、顧客と信頼関係を構築するための実践的なプロセスや行動について話を進めたいと思います。
●信頼関係構築の4つの具体策
1.悪い情報ほど早めに報告
スケジュール遅れ等が発生すると、お客様には報告せずに、なんとか自分でマネジメントして、リカバリーしようとしがちですが、小生の経験ではその試みは多くの場合うまくいきません。早晩、お客様にばれて、お客様の信頼を失うことになります。
なのでスケジュール遅れ等が発生した場合は、早期にお客様に報告して、一緒にリカバリー策を検討するほうがお客様との信頼関係が構築できて、良い結果になります。正直に報告した時は、お客様も助けてくれます。
2.ステアリングコミッティ
「ステアリングコミッティ」はプロジェクトの舵取りをするガバナンスプロセスです。プロジェクトでは、現場では意思決定できない様々な問題が発生します。その場合、より上位のマネジメントレベルで意思決定する仕組みがステアリングコミッティです。特にお客様も参加する合同ステアリングコミッティを設定することで、お客様マネジメントと一緒に問題解決や意思決定を行うことになり、お客様との信頼関係をより強固なものにすることができます。
3.合同キックオフ・ミーティング
キックオフ・ミーティングは、プロジェクト開始時に行われる公式な会議体です。社内のステークホルダーを集めて行う「社内キックオフ」と、お客様も含めた「合同キックオフ」があります。小生は、お客様も参加する「合同キックオフ」を必ず開催するようにしていました。なぜならこの合同キックオフが、お客様との信頼関係を構築する初めの一歩だからです。合同キックオフを通して、お客様のマネジメントからプロジェクトに対する期待や要望を聞くことにより、プロジェクトの成功のためにお客様の信頼に答えたいという気持ちを強く持つことができました。
4.課題管理表
課題管理表は、お客様との信頼関係を構築するための重要なツールです。お客様から頂いた課題について真摯に対応することにより、信頼関係を構築することができます。毎週開催されるお客様との定例会議では、必ず課題管理表の進捗状況を報告して、お客様の承認をいただくようにしていました。このような行動の積み重ねが、お客様との信頼関係を強固なものにすることができます。
●プロマネは演出家になろう
プロジェクトを成功させるためには、何か画期的な方法があるわけではなく、意図をもってあの手この手を使って我慢強く演出し続けるという感覚が必要です!
Tip of the day
●日頃の活動を通して、顧客と「信頼の貯金!」を作ることがプロジェクトの成功に繋がる!