アメリカの子供向けの本が原作の映画ジュマンジシリーズ。最初は1995年に映画化されましたが、今回取り上げる「ウェルカム・トゥ・ジャングル」は、(前作を知らなくても十分に楽しめますが)1995年版を継いだ作品と考えても良いでしょう。子供向けの本の中にマネジメント要素が…?。今回はこの映画の中に、それを探してみたいと思います。
まずはいつものように映画のあらすじを。
ブラントフォード高校の生徒の中で、たまたま(宿題でズルをする等の)問題が発覚した4名(男2名、女2名)が、ペナルティとして学校の物置部屋の掃除を言いつけられます。当然、そんな物置部屋の掃除など全くやる気がしない4名。物置部屋ですからいろんなガラクタが眠っているわけですが、そんな中から「テレビゲーム」らしき筐体を見つけます。もちろん、物置部屋ですからくたびれたテレビもおあつらえ向きに見つかる。電源をつないで見ると、ゲーム画面が描き出され「JUMANJI」と表示されます。キャラクター選択画面が表示され、「飛行機乗り」「動物学者」「セクシー博士」などなど、個性的な役割のキャラクターが提示されます。もちろん、4名はそれぞれ掃除などやる気がないのですから、いっちょやってみるかといった勢いでそれぞれにキャラを選択。そしてスタート!
「ようこそ!JUMANJIへ」の音声ののち、太鼓がドンドコ打ち鳴らされる音とともに、4名の生徒がそれぞれにゲームマシンに吸い込まれてしまいます。そう、ゲームの中に取り込まれてしまったのです。それも現実世界とは全く違う「(自身が選んだキャラクターの)容姿」で。そんなことに驚いている暇もなく、猛獣に襲われそうになり必死で逃げる。途中、車に乗った味方を見つけます。「早く乗って!」と運転手に促され乗りこむ4名。
運転手(実はゲームの案内人であり進行役)は、それぞれのキャラクターの特徴、背景を的確に説明し、そして4名にこう言います。「JUMANJIは危機に瀕しています。ジャガーの像に埋め込まれていた宝石が悪党に奪われたことで呪いがかかっています。その宝石はここに取り戻しておきました。ぜひこれをジャガーの像の眼にはめ込みなおして呪いを解いていただきたい。JUMANJIの運命はあなたにかかっています。」と。そして最後に「ゴールの仕方をこれからお伝えします。♪宝石返して解こうよ呪い。ゴールするにはこの世を救い、叫べよその名をJUMANJIと!♪」
さて、ここから映画はいよいよ冒険活劇として始まるのですが、それはいったん置いておくとして。我々の現実に立ち返りましょう。
日々皆さんが実施されている仕事、プロジェクトでは、たとえば何か製品を作ったり、資料を作成したり、場合によってはイベントを開催したりすることで、その仕事を完了することになります。なにか「依頼された資料や成果物」がある場合、皆さんは、それらを技術や知識を用いて、また一人の場合もあれば複数人が集まったプロジェクトチームとして作り上げ、依頼主に納品して仕事を完了させることでしょう。
と、ここで考えてほしいのです。「依頼されたものを作り、納品した」だけで、本当にその仕事を「完了したこと」にしてしまってよいのでしょうか?もちろん、それでほんとうにOKの仕事もあるかもしれません。が、多くの場合、それでは「その仕事に携わった事で得られたノウハウ」は、その現場でかかわった当人しか知り得ません。もし次の同じような仕事が来た際に、そのノウハウを持ったその人がアサインされればまだしも、そうとは限らない場合、その「前回の当人」が今回得たノウハウを「今回の担当者」はどうやって継承するのでしょうか?
そう、こうした情報をそこにいた当人の記憶のみにとどめず、形式知化する機会のひとつが「振り返り会」や、すべてが終わった後に開催される「レビューミーティング」である会社は少なくないでしょう。そうしたまとめ会議を通じて、今回個々の現場で得たノウハウや知識を「書面化」「データ化」することで、次回もし同じような仕事が来た際に、きちんと生かす、組織として同じ失敗をしないようにするために形式知化するのです。こうしておかないと知識がうまく継承されず、結果的に「同じような仕事が来ても、去年と同じ失敗をしてしまう組織」になってしまう可能性が高まってしまいます。自社としてこの仕事を終える終え方、この仕事のゴールの仕方は、振り返り会などを通じて、組織として成長していく情報や知識を継承していけるようにしてこそ、組織としての仕事が終わるのではないでしょうか?RPGゲームなどでは最後のボスキャラを倒すことや、お姫様を助け出す事だけかもしれません。しかし現実においては、それを通じてノウハウなどを形式知の形として積み上げる、これが「仕事の終了条件」の一つでありゴールの仕方になるのでは?
さて、映画の中では昨今のすばらしいCGが駆使された手に汗握るアクションが折り重なるように展開されます。チームとしての意識も芽生え、どうやってゴールするかを皆が知恵を絞って進みます。
もちろん、ゲームをなんとか完了して皆、元の世界に戻っていきますが、こうしてゲームの中で得られた経験が(現実世界の4名それぞれにも)おおきな経験値となって継承されます。さらに、ここには書かなかった過去とのつながりも明らかになります。
JUMANJI。家族で楽しめる作品です。ぜひ機会があればご覧になることをお勧めします。
それではまた次回。