さて、私たち講師は、やはりその日の講座がいかに盛り上がるかには心を砕いています。
やっぱり盛り上がればうれしいし、あまり盛り上がらないときはしょんぼりしているものなのですが…
ところが私は最近、朝一番「ある姿」が見られるかどうかで、ほとんどその日1日の様子が占えるようになりました 笑
それは何かというと、「受講生同士が会話しているかどうか」です。
お互いを知っている場合でも、初めての場合でも、何らかのおしゃべりが起きていれば、だいたいその後の講座も活発にやりとりが生じます。
その後の「学び」というタスクを効果的に遂行するために、「朝のおしゃべりが大事」というのはどういうことなのでしょう。
私たちのコミュニケーションは、大きく「会話」と「対話」に分けることができます。
「会話」は、まさに日常のおしゃべりです。
天気の話、体調の話、最近始めた趣味の話など、とりとめのない、言ってしまえば「してもしなくてもよい話」です。
じゃあなんでわざわざするのかといえば、「人間関係の潤滑油」として欠かせないからですね。
「今日隣り合った私たち同士、仲良くやりましょうね」という人間関係を円滑にする役割を負っているわけです。
そして一方の「対話」は、問題解決や相互理解のための話し合いです。
お互いがどんなことを考えているのかを表現しあい、違いを理解するための話し合いです。
「私はこう思うんだけど…」に対して、「えっ、そうなの、私はこう考えていたよ!」と対立点も避けずにオープンにしていきます。
そしてこの対話の特徴は、「自分の考えが変わる」可能性を含んでいるというところです。
「最初はAが一番と思っていたけれど、Bのほうがいいこともある…」と、その対話を始める前と後とでは、自分の考えが変わることもあるのですね。
これぞ「学び」ということです。
このように考えを変えるのは勇気がいります。
「実はさっきの考えから変わったんですが…」ということを表現するには、「そうしても大丈夫」という安心できる環境(関係)がなければできません。
だからこそ、最初の「会話」が効いてくるわけですね!
研修中、「自分が変わる」という変化を生じさせるためには、安心してそれを表現できる人間関係が必要です。
朝一番に「会話」をして、「この人たちに対してなら自分を見せても大丈夫だな」と感じられれば私たちはどんどん発言します。
これはチームの活動にもそのまま当てはまります。
チームをうまく機能させるには、「対話」と「会話」が車の両輪のように必要です。
課題を解決する「対話」を成功させるには、まずは「会話」で人間関係の土台ができている必要があるのですね。
皆さんも、「最近チームで仕事で意見をぶつけ合う『対話』ができていないなぁ」と感じるなら、まずは「会話」を増やすところから始めてみませんか!