今回は、いわゆる青春時代を扱った映画、「フットルース」を題材に取り上げます。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、この映画をきっかけとして、いくつもの(日本語吹き替え歌詞版も含めた)ヒットソングが生まれたことでも有名な映画です。主人公役のケヴィン・ベーコンも、この映画の主人公レン役で当たったことを契機にハリウッドスターの仲間入りをしたと言われています。そんな青春映画の中にどんなプロジェクト要素があるのでしょうか?
まずは、いつものように映画のストーリーのおさらいからはじめます。
いわゆるアメリカの都会の街の一つシカゴから、田舎町に引っ越してきた主人公の高校生レン。その田舎町の高校に転入となるわけですが、あまりにシカゴと状況が違いすぎました。田舎町にありそうな独特の「町民が皆お知り合い」的な、悪い言い方をすれば「監視されている感じ」の社会。少々無茶をしてみたい高校生からすると窮屈感が否めません。
とはいえ時間も経過して、いよいよ卒業。アメリカの高校にありがちな卒業ダンスパーティー…を期待していたのですが、実はこの町ではダンスパーティーが禁止されてたのです。それは以前に、この町の高校生が当時のパーティーで羽目を外しすぎて命を落とす悲惨な事件をおこしており、それをうけて当時の町民集会の決議としてダンスパーティーが禁止となっていたという経緯があっての事だったのです。
しかし、「今」の高校生の当事者としては高校生活最後の楽しみの(日本の高校ではほぼ聞いたことがないのですが、アメリカでは「プロム」などとよばれているイベント)卒業パーティー。過去の事件は事件ではありますが、自分たちは危ないことはするつもりもないし、約束は守るつもりだし、なぜダンスパーティーをしては
いけないのか?となってしまいます。ただ、ここは田舎町。古参の大人たちの意向はそう簡単には変わりません。そこで、主人公のレンは町民集会で権利を行使して演説します。なぜダンスパーティーはいけないのか?
典型的な青春映画で、古い、というか保守的な考え方の大人と、押さえつけられたくない若者の対立を描いた典型的な映画ですね。ところで、現実のみなさんの職場で、こんな体験をしたことはありませんか?
ある作業を進めているなかで、
「なんでここで、こんな手順を踏んでいるんだろう?」
「これ、やる意味あるの?」
そう思いながらも、だまってその手順で進めていることはないでしょうか?疑問に思って先輩に聞いた方もいるかもしれません。が、その先輩も「いや、うちではずっと以前からこのやり方なんだよ、とにかくやってよ」と、あまり納得のいかない答えしか返ってこなかった等々。
仕事においても、このような「何のためにやっているのか、理由がわからない手順や作業、ルール」があることがありませんか?実はそれを突き詰めていくと、現状にも通じる明確な理由があって、聞いてみると「なるほど、だからそうなっている」ということを明らかにして、納得して進められることもあるでしょう。しかし時
には、特に理由はなかった、そんなことする必要がなかった、昔はそれが必要だったけれど、今回のやり方ではそれをする必要がなくなっていた、ということもあり得ます。
実はプロジェクトマネジメントの考え方においても、「無駄作業、無駄プロセスは適宜取り除こう」という考え方が根底に流れています。いわゆる世間で言われる「プロセス改善」。当初は意味があったかもしれない作業でも、やり方や手法が変わった今においては「その手順」は無駄作業に他ならない場合があり得ます。それを、何も考えずに言われたまま唯々諾々と従うのではなく、理由を明確にし、無駄な手順を取り払うことは、効率向上の観点から見ても重要な活動につながっています。職場によっては「無駄取り」とおっしゃるところもあるでしょう。
さて、再び映画に戻りましょう。
主人公のレンは聖書の一説まで探し出して、町民を驚かせるようなプレゼンを行い、踊ることの意味、ダンスパーティーの意義を訴えました。が、相変わらず「その町の中でダンスパーティーを行うこと」は覆りませんでした。ではそこであきらめてしまうのか?それは映画を最後までご覧いただければお分かりいただけます。
青春映画フットルース。音楽のいくつかは「あ、これ日本語の曲で聞いたことあるかも!」と日本でヒットした歌が含まれているので、多くの方にとって楽しんで観ることができる作品だと思いますよ。
それではまた次回。