さて、あなたが誰かとの間でフラストレーションを感じていたとしても、そのことが本当に話し合うべき問題なのかどうか、いまいち確信が持てないことも少なくありません。
- 新しく隣の席になった人が、引き出しの開け閉めが荒く、いちいちビクッとしてしまう
- 親しさの表現とはいえ、自分の名前の呼び方が若輩扱いで、他の人もいる中で呼ばれるたびにひっかかる
- 本当は相手から言ってきてほしいことを、毎日こちらから聞いている
「これぐらいのこと、みんな我慢しているのかも…」
「あの人のことだから、『いいじゃん別に』って軽くあしらわれそうだしな…」
「どっちからなんて細かいことまで要求して、口うるさい人って思われたくないし…」
こんなふうに考えて、「まあいいや」「言うのも面倒だし」と、その人とその問題を話し合うことを避けてしまうことがあります。
ところが、ハッと気づくと、そのことをまた考えていたりします。
「あ~あ、今日もまただよ、やっぱり不愉快だなぁ…」
「やっぱりこれっておかしくないか?…うーん、でもああ言えばこう言われそうだしな…」
こんなふうに自問自答が始まってしまいます。
いけない、仕事に戻らなきゃ…と思って、あなたは頭の声を振り切るように、パソコンの文章を目で追いかけだします。
「でも、なんで私が我慢しなきゃいけないんだろう。そもそも悪いのはあっちなのに…」
「あの人はいつもそう。周りにどれぐらい苦痛を与えているか、全然気づかないのよ」
ハッと気づくと、文章は先ほどから一行も進んでおらず、またそのことを考えている。
「やだなもう、なんでこんなに私が煩わされなきゃいけないの。終わらせなきゃいけない仕事がいっぱいあるのに…」
はい、これではまるで脳の中で「綱引き」が行われているようなものです。
ストレスを感じる状況は、他の日常の課題から、あなたの注意や集中を力づくで奪ってしまいます。
そこから、あなたはまた日常の課題に注意を向けようと奪い返す…
このような、他の誰からも見えない闘いでへとへとになってしまうこと、ありますね。
「ハッと気づくと、そのことを考えている」という事態が生じていれば、それはもはやあなたにとってのストレスに違いありません。
頭の中で綱引きをすることにエネルギーを使うより、相手と話し合うことにエネルギーを使ったほうがよっぽど有益です。
意を決して話し合ってみれば、「ごめんね、気づいてなかったよ」と言ってもらえ、「さっさと伝えればよかった」と思うことは少なくありません。
さあ、先延ばしにしていて「話し合っていない件」がある方、頭の中での綱引きをやめて、勇気を出して目の前の人と話し合ってみませんか!