さて、前回「憂うつな気分と思考はスパイラルする」ということをお話ししました。
憂うつな気分に浸ることで、思考がいっそう憂うつになる材料を探し出してしまい、ますます憂うつな気分に浸っていく、というものです。
これは「憂うつ」に限らず、「怒り」でも「不安」でも「焦り」でもほぼ同じです。
ネガティブな感情に囚われたとき、その感情を私たちは知らず知らずのうちに「せっせと育てる」ことをしてしまっています。
そんなときの対処法を知っておきましょう!
1.「ニックネーム」をつける
自分がよく振り回されてしまう感情に、特徴を表すニックネームをつけます。
憂うつな気分は「ウッチー」とでもしておきましょうか。
怒りだったら「ぷんすけ」とか「メラリン」など。
なるべくかわいげのあるニックネームがいいですね。
憂うつな気分に浸りだしたら「ウッチーめ、またきたな」といった感じです。
これでちょっと、自分の感情と距離が取りやすくなりますね。
2.その感情の「繁殖条件」を整理する
たとえばウッチーの繁殖条件はこんな感じです。
・仕事が休みで、一人で家にいてゴロゴロしているとき
・天気が悪くて、外が荒れているとき
・寝転がって、最近の不愉快な出来事から過去の失敗まで芋づる式に思い出しているとき
その感情が、活発になったりするタイミングや、好んで棲むすみかを明らかにしておきましょう。
また、その感情が元気になる「餌やり言葉」も特定しておくといいですね。
・まただ!やっぱりいつもうまくいかない
・どうして自分の周りにはこんな人ばかりなんだろう…
・ああ、今までもずーっと不幸続きだった…
これらの言葉をつぶやくことで、その感情は「餌だ餌だ!」と喜び、どんどん増殖してしまいます。
3.その感情の「苦手な環境」を考える
一方で、ウッチーの苦手な環境はこんな感じです。
・明るい光の入る、気持ちのいいカフェにいるとき
・スポーツや趣味など、好きなことに没頭しているとき
・これまでの人生での達成や、自分を助けてくれる人を思い出しているとき
このようにその感情が大人しくなって、出てきにくくなる条件を明らかにしてみましょう。
「ウッチーがきたらこうするんだった」という撃退法を自分の中にストックしておくわけです。
さらにその感情が退散したくなる「呪文」も考えておくといいですね。
・大丈夫、私はうまくやっている
・自分には味方がちゃんといる
・なんとかなるし、なんとかなってきた
これらの言葉をつぶやくことで、その感情は塩をかけられたナメクジみたいにシュルシュルと小さくなっていく気がしませんか。
いかがでしょうか。
こんなふうに、少しユーモラスに対処法を考えてみるとなんだか楽しくなってきますね。
ここで紹介したのは「外在化」といわれる心理療法の一つの考え方です。
自分と一緒くたになっている「感情」を、自分からポーンと「外」に出して扱ってみることで、その感情を客観的に見ることができ、有効な対策が講じやすくなるのです。
ネガティブな感情に「せっせと餌やり」をしていることに気付いたら、手を止めて、退散いただく方向に頭をひねってみてくださいね!
★第48、49回「問題は『外在化』して考えよう(1)(2)」もご参考に!