さて、皆さんも周りの人と、ついつい熱くなって口論をしてしまうことはありますよね。
こんなに言葉の限りを尽くして思いをぶつけているのに、どうして相手にはわかってもらえないのか。
最後は訴えても通じなかった徒労感と、あきらめとむなしさが漂う…。
お互いにそんな気持ちを味わっていることが少なくありません。
たとえばAさんとBさんの会話をみてみましょう。
Aさん「なんで前と同じ状況に陥るってわかっていて、その計画を押し通そうとするわけ?! スケジュールを見直すのは当然でしょう!!」
Bさん「計画の見直しばかりで、プロジェクトが少しも予定通り進んでいないじゃないですか!そうこうしているうちに他社に同じものを作られてしまいますよ!」
Aさん「だ~か~ら~、・・・・」
こんなふうに重要なことであればあるほど、お互い譲ることができず、どんどんヒートアップしてしまいます。
さてこんなとき、言い争いを鎮静化する有効な方法を一つご紹介します。
それは、相手の言い分を必ず一度「要約」してから、自分の発言を始めること。
Bさんなら、Aさんに対してはこうです。
「Aさんは、現在の状況が、前と同じ状況に陥りそうに感じられているんだね。だからスケジュールの見直しをしなきゃと思っているんだね。」
Aさんなら、Bさんに対してはこうです。
「Bさんは、計画の見直しが続いていることが、プロジェクトが予定通り進んでいないように思えて、焦りを覚えているんだね。」
こうやって、自分の説を唱える前に、必ず直前に相手が言ったことを要約してみるのです。
そして相手から「その通りだ」の声を聞けるまでは、自説に移ってはいけません。
このように、「直前に相手が言ったことを要約し、同意を得てから、自説に移る」を話し合いのルールとするのです。
こうすると、双方が「私の言わんとすることが相手に届いた」とわかるので、執拗に自説を繰り返す必要はなくなり、ヒートアップすることはグッと減ってきます。「相手が満足するまで要約しなければならない」となれば、相手の言い分に注意深く耳を傾けることにもなります。
またさりげなく「主語」を入れていることにお気づきでしょうか。
「Aさんは、こう感じるんだね」「Bさんには、こう思えるんだね」と、主語を入れて要約することで、その人の言っていることが絶対的な事実ではなく、「その人にとっての考えである」という中立的な位置づけへとそっと移していけるのです。
これは当事者同士での話し合いでも、会議などで多数の人々を相手にファシリテートを行う場面でも同様に有効です。
言い争いの気配を感じたら、「要約をルール化する」、どうぞお試しあれ!