アサーティブに伝えるには、自分の「気持ち」を率直に伝えることが必要です。
しかし、この気持ちは「Feeling」と「Thinking」のレベルがあり、2つを混同しないことがポイントです。
誰かの行動があなたにとって「えっ、なんで?!」「どうしてこうしてくれないの?」など、期待に反するような状況があったとしましょう。
例えば…
(1)上司に事情を伝えて断ったはずの仕事なのに、あとから「あいつはやる気がない」と言われていると知ったとき
(2)パートナーに「休みの予定を立てておいてね」と言っておいたにもかかわらず、前日になっても何も考えていないとわかったとき
(3)快適な空間を求めて入ったはずのカフェで、お客の耳に入るような声で店員が他の店員を叱り続けているのを目にしたとき
などなど、このような出来事に遭遇したとき、そこからあなたの中に何が起こるでしょうか。
最初の瞬間は「ショック!」「びっくり!」「そわそわする…」など、「Feeling」を感じているはずです。
しかしここから、頭の中での「はしごのぼり」が始まってしまいます。
例えば…
(1)陰で悪口を言うなんて「根性が曲がった人間」だ!彼は「人の上に立つ人間ではない!」
(2)なんて「人任せ」なんだろう!この人は「家族への愛情が薄い人間」なんだ!
(3)なんて「感度が低い」店員だ!「客をないがしろ」にするにもほどがある!
このように、頭の中でその出来事を発端にして「意味づけ、解釈」を始めると、その意味付けや解釈はとどまることを知りません。
身体感覚を伴って感じる「Feeling」は地に足が着いていますが、頭のレベルで考える「Thinking」は、はしごを駆け上るように、最初の出来事からはずいぶん遠いところまで到達してしまうのです。
もしもあなたがこのような出来事に遭遇して、相手と建設的に話し合いたいと思ったときは、この頭の中で駆け上ってしまったはしごを降りる必要があります。
(1)そのように言われていると知って、大変ショックでした。
(2)前々から言ってあったから、何も計画していないと聞いて驚いたわ。
(3)ここでは静かに過ごしたかったので、その声を聞いていると落ち着きません。
など、Feelingのレベルを伝えることで、相手の耳にも届きやすくなります。
Thinkingのレベルのままで伝えると、話し合いはこじれやすくなるでしょう。
これはご自身の精神衛生を健康に保つ上でも大事なことです。
小さな出来事を発端に、いつもはしごを駆け上るクセをつけてしまうと、始終心の中は荒れ狂い、心穏やかに過ごせなくなってしまいます。
自分の頭の中で「はしごを駆け上る」ことをしていないか、ときどきチェックしてみてくださいね。