研修でマネジャーの皆さんの悩みとしてよくお聞きするのは、「50代以上のベテランメンバーのモチベーションをどうやって高めるか?」というものです。
技術的なスキルは大変高いのだけれど、社内では高いスキルに見合うポジションが存在していなかったりで、お給料やポジションの面ではなかなか報われず、モチベーションが上がりにくいようだ…とのこと。
定められた自分の仕事はちゃんとこなしてはくれるものの、チームに活気をもたらしてくれているとはいいがたい。
このようなベテランメンバーを抱えて、人知れず悩んでいるマネジャーの方は多いようです。
もちろんモチベーションの源は人それぞれですが、ここでは「世代としてのモチベーション」について、参考になる視点をご紹介します。
それはエリクソンの「人生の発達課題」という視点です。
エリクソンは人生を8つのライフステージにわけ、それぞれのステージで乗り越えるべき「課題」があるとしました。
例えば、13~25歳ごろは「青年期」と呼ばれ、課題は「アイデンティティの確立」です。つまり「自分は何をやりたいのか」とか「自分らしさとは」などを見つけてゆく時期です。
25~45歳ごろは「成人前期」と呼ばれ、課題は「親密性の獲得」です。つまり、恋人、友人、同僚など、他者との間に親密な関係(パートナーシップ)を築いてゆくことです。
そしてこのベテランメンバーも含まれる世代である45~65歳は「中年期」と呼ばれ、課題は「世代間継承」です。つまり、子どもを育てたり、職場で後進を育成したりなど、自身の所属する共同体において、のちの世代に貢献してゆくことです。
この「次世代の育成」に向けられるエネルギーがうまくそこへ向かわないと、「自分さえ満たされればいい」とむしろ自分自身へ向けられてしまい、個人としての停滞につながってしまうと言われています。
つまり「育てる」役割を担ってもらうことが、ベテラン世代のエネルギーの向け先としてとても大事だということなんですね。
お給料やポジションなど、「受け取る」ものを増やすばかりでなく、むしろ「与える側」の役割を担うことが充実につながる、というのはなかなか面白い視点だと思いませんか。
「人生の発達課題」という視点、どうぞ参考になさってみてくださいね!