最近、プロジェクトに関する組織やメンバー間で、「PMO」という名称を聞くことが多くなりました。
実際に多くの企業にPMOが設立され、業務を遂行しています。
ところが、PMOとはどのような役割を持ち、どのような機能を持っているのか…ということについては、企業や人によってさまざまな解釈がされています。
今月からは、長年PMOを経験してきた私が、PMOを取り巻く種々の状況について説明し、組織やプロジェクトに役立つPMOの活用方法を提供していきます。
そもそも「PMO」とは何でしょうか?
PMOとは「Project Management Office」を略した用語です。(※1)
PMI®の「PMBOK®」においては、PMOとは「組織内のプロジェクトを統制する仕組みを作り、実行していく組織であること」と説明しています。そして、PMOの責任は「プロジェクトマネジメントを支援したり、または直接マネジメントしたり、広範囲にわたる」と記述されています。
すなわち、組織のプロジェクトマネジメントに関して、非常に多様性を持つ組織と解釈されています。
現実のPMOの活動は、組織に依存している姿が見られます。
日本におけるITシステム構築は、「発注者企業」と「受注者企業」が存在していることが特長です。
発注者企業では、自社の経営にITシステムを使ってビジネスを展開していきますが、その開発はITシステム受注者企業(ITベンダー)に任せている企業です。たとえば、流業、製造、金融業など様々な業種の企業、また政府や自治体もこの分類に入ります。
一方、ITシステム受注者企業とは、ITシステム発注者からシステム構築を受託し、これを成功させることをビジネスとしています。
このように、発注者企業と受注者企業では、プロジェクトの意味合いが異なります。PMOの活動も、組織のプロジェクトの目的に合わせて異なってきます。
また、企業規模によっては、1つのPMOでは対応が十分に取れず、企業内で「全社レベルのPMO」「組織レベルのPMO」「プロジェクト内PMO」といったPMO組織が構成される場合もあります。その場合は、それぞれのPMOの役割は異なります。
以上のように、PMOの活動は、組織形態の影響を大いに受けることに留意しましょう。
次回は、組織とPMOの関係をさらに掘り下げていきます。