第1回では、PMOには複数の組織形態があり、役割が異なることを述べました。
第2回では、その中の「組織のPMO」の役割を述べました。
今回は、「プロジェクト内のPMO」の役割を考えましょう。
以下の図のように、プロジェクト内にPMOが設置されることがあることをご存知でしたか?
PMOが設立される経緯はさまざまですが、金融業、製造業、官公庁などにおいては、『大規模プロジェクトの支援』のために設立される事が多くみられます。
大規模プロジェクトの場合、設立当初プロジェクト・マネジャー1人で行っていたプロジェクトマネジメントのタスクは、実行が難しくなり、プロジェクトマネジメントを支援するプロジェクト部隊が必要となります。このプロジェクトマネジメント専任部隊をPMOと称します。
プロジェクト・マネジャーはプロジェクトの遂行責任を負いますが、PMOはプロジェクトマネジメントの実行の支援が大きな役割となります。具体的には、プロジェクト・マネジメント・プロセスの導入、プロジェクトの可視化などです。
このような位置づけにあるPMOは、組織形態の分類上は「プロジェクト内のPMO」に相当します。
「プロジェクト内のPMO」は、PMBOK(R)では、「プロジェクトマネジメントチーム」と呼びます。また、「組織のPMO」がある企業では、これと区別をするため「PO」(プロジェクトオフィス)と称する場合もあります。
第2回で述べたように、「組織のPMO」は、『組織全体のプロジェクトマネジメント力の向上』という役割を持っています。
これに対して、「プロジェクト内のPMO」の役割は、『当該プロジェクトを成功させるために、プロジェクトマネジメントの実行を支援すること』です。
プロジェクトに対する目的は、プロジェクト・マネジャーと同じになります。
なお、「プロジェクト内のPMO」には、上記以外に特別な役割が存在する場合があります。
それは、『プロジェクト・マネジャーの右腕として、意思決定の支援をしたり、場合によっては指導をする』役割です。
そのようなケースでは、重要なプロジェクトに「組織のPMO」からPMO人材が派遣され、プロジェクト・マネジャーの右腕として、意思決定の支援をする例もあります。