組織のPMOの重要な業務のうち、プロジェクト支援業務についてお話ししています。プロジェクト支援業務は、組織のPMOが実施する基本的な業務で、多くの組織のPMOが取り組んでいる業務です。今回は、このうち、メンタリングとコーチングについてお話しします。
1.メンタリング
プロジェクトマネジメント能力は、経験を重ねることによって向上します。経験が十分でないプロジェクト・マネジャーは、経験豊富なメンターから、対話による相談やアドバイスを受けながら、経験不足を補い、プロジェクトマネジメント能力を向上できます。
このように、経験豊富なプロジェクトマネジメントのメンターから、経験が十分でないプロジェクト・マネジャーの能力を自発的、自律的に発達することを促進する制度をメンタリングといいます。
2.メンタリングのプロセス
PMOはプロジェクト・マネジャーやプロジェクトマネジメント・チームの育成に効果的なメンタリングのプロセスを構築し、プロジェクトに適用します。メンターは社内のメンタリングスキルを持った要員が行う場合と、社外の専門家に依頼する場合があります。メンタリングを行うためには、経験豊富なメンターの育成や確保が必要です。
プロジェクトに対するメンタリングのプロセスは以下の通りです。
- 適切なメンターのアサイン
- メンタリング計画書の作成
- メンタリングの実施
- メンタリング終了時にメンタリングを評価した報告書の作成
メンタリングは、プロジェクト・マネジャーの育成を狙いとしていますが、プロジェクトマネジメントに関する強い自己育成能力の形成が期待できます。また、メンティーの能力向上も期待できます。
3.コーチング
コーチングとは、プロジェクトマネジメントのコーチングスキルを持ったコーチが、プロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーに対して、プロジェクトの目標達成のための問題の気づきやその原因および解決策の支援を行うものです。
コーチングでは、解決策の策定やその実施は、プロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーが行います。コーチングによって、プロジェクトの問題解決を支援するとともに、プロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーのスキルの育成を図ります。
4.コーチングのプロセス
PMOは、プロジェクトの要請に応じてコーチをアサインするコーチングのプロセスを構築します。コーチは社内のコーチングスキルを持った要員が行う場合と、社外の専門家に依頼する場合があります。PMOはコーチングを行うために、社内のコーチングスキルの向上やコーチ要員の確保が必要です。
プロジェクトに対するメンタリングのプロセスは以下の通りです。
- 適切なコーチのアサイン
- コーチング計画書の作成
- コーチングの実施
- コーチング終了時にコーチングを評価した報告書の作成
コーチングでは、プロジェクトの問題をプロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーが解決するための気づきを与え、問題解決の実施に導くことが重要です。
このように、メンタリングやコーチングでは、プロジェクトの目標を達成するために、プロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーへの働きかけを行いますが、PMOとしては、そのプロセスを構築することが重要な役割です。