今年も桜は美しく、ほっと心慰められるひとときが過ぎました。
さて、新年度がスタートし、新しいメンバーを迎えたり、新しい部署でスタートを切られた方も多いことでしょう。
新しい人間関係の始まりでは誰もが不安を感じるものです。
特に上司などのキーパーソンに関しては、
「この人の地雷はどこにあるのか」「どんな行動が好き/嫌いなのか」
…と少なからずエネルギーを割いて理解しようとしますね。
そんなあなたの陰ながらの努力をサポートしてくれるのが、前回ご紹介した「交流分析」です。
前回は、交流分析における「3つの私(=自我状態)」をご紹介しました。
- 良心や理想と関連している「親の自我状態=P(Parent)」
- 知性や理性と関連している「大人の自我状態=A(Adult)」
- 本能や衝動と関連している「子どもの自我状態=C(Child)」
この3つの私の使い分けをきちんとできることが、場面に応じた適切な振る舞いをする上で大事ですよ、という話でした。
さて、この3つの私のうち、実はPとCはさらに2つに分かれるのです。
Pの2つの側面
- 道徳や善悪を守ろうとする心「CP(Critical Parent)」
- 寛容さや他者への配慮の心「NP(Nurturing Parent)」
Cの2つの側面
- 持って生まれた自由な心「FC(Free Child)」
- 周囲の期待に沿おうとする心「AC(Adapted Child)」
CPはいわば厳格な父親、NPは優しいお母さん、FCはやんちゃ坊主、ACは親の顔色を伺うイイコちゃん、といったところです。
このCP、NP、FC、ACにAを加えた5つの心が、私たちの心の中には組み込まれているのです。
たとえば、あなたがやや頼りない新入社員の教育を任されたとします。
すると、それぞれの心からこんな発言が聞こえることでしょう。
CP「今どきの若いやつはちっとも自分で考えようとしなくてけしからん!」
NP「この子もこれまでと違う環境でとまどっているのよねぇ」
A 「よし、こいつを3ヶ月で一人前にする育成計画を立てよう」
FC「わー、今どきの子ってこんな感じなんだ、びっくり!!」
AC「この人をちゃんと育てないと私が怒られちゃうのよね…」
この5つの心は、誰もがすべて持っていることに変わりはありません。
ただし、5つの心が持っているエネルギー量が異なるため、結果として表に出る言動はどれかを代表した形をとってくるのです。
当然、この5つの心のうち、どの心が主導権を握るかは、相対する人の違いや、職場か家庭かなどの場面の違いで異なります。
ただ、その人のベースとしてのエネルギー配分のクセはあり、それをその人のパーソナリティとしてざっくりと理解することはできます。
ですから、その人を素早く理解したければ、その人の言動をCP/NP/A/FC/ACの特長と照らし合わせ、どんなエネルギー配分の人なのかを想定してみましょう。
相手の出方をおおよそ予測できる、というのはあなたのストレスを減らすことにつながります。
あるいはあなたと異なるエネルギー配分の持ち主を、それを一つの個性としてとらえやすくなります。
それこそ頼りないと見えた新入社員は、人の話を素直に聞くことのできるACの高い人なのだというように!