さて前回は、アサーティブに振る舞うことの意味を考えてみました。
今回は、アサーティブに伝えるための3つのポイントをお伝えしたいと思います。
たとえば職場でよくある小さな困ったシーン。
定時も過ぎた午後6時。隣の課の鈴木さんがふらふらと近づいてきて、声をかけてきました。鈴木さんは愉快な人ですが、相手の都合をあまり考えないのが玉にきず。今回も、あなたは明日のお客様との打ち合わせ資料作成に追われているところで、雑談がスタート…
「〇〇さん、こないだ紹介した映画ね、見てみた? 良かったでしょ?」
さあ、あなたはどう返答しますか?
まずはノンアサーティブな返答からチェックしましょう。
A: 「も~、今忙しいのがわかりませんか! あとにしてください!」とバシッ!
B: 「いや~はぁ~そうですね~」と生返事をしながら目線はゼッタイPCから離さず。「気づいてくれオーラ」で悟らせる。
C: 「あっ、ちょっといま急いでるんで…」と語尾を濁し、相手の「あ、そうなんだ、ごめんごめん」という返答を待つ。
いずれもよくやりがちな対応ですね。
Aパターンは、鈴木さんは即座に黙ってくれるでしょうが、「なんだよそんな言い方しなくたっていいだろうが!」とあなたに対してムカッ腹を立てることになります。
Bパターンは、鈴木さんは気づかずに話し続けるか、生返事にいささか気分を害しながら「あっ今忙しいのか、だったらそう言ってくれればいいのに」と思うでしょう。
Cパターンはまったくだめではありませんが、少々言葉足らずですね。鈴木さんは雑談を止めてはくれるでしょうが、あなたがなぜ急いでいるのかわからず、次はいつ声をかけていいものかわかりません。こういったやりとりが何回か続けば、「自分が話しかけるの嫌なのかな…」と思って、あなたに話しかけること自体、止めてしまうかもしれません。
自分にそんなつもりがなくてもシャットアウトしてしまっているとしたら、もったいないですね。
ではどんなふうに伝えることが、相手にとって不快感を与えず、しかも自分の意思を的確に伝えることができるのでしょうか。
アサ―ティブな会話では、以下の3点で話を構成することがポイントです。
- 事実
- 気持ち(感情)
- 提案・要求
これをもとに会話を組み立てると、たとえば以下のようになります。
「すみません鈴木さん、実は今、明日のお客さんとの打ち合わせ資料を作ってて(事実)、かなり焦っているところなんです(気持ち)。またあとで自分から声をかけさせてもらっていいですか?(提案・要求)」
いかがですか? 相手は嫌な気持ちになることなく、しかもあなたの要求はきちんと伝わっています。
何が起きているのか「事実」を述べ、それに対するあなたの「気持ち」を話し、どうしたいのかを「提案」する。
これがアサーティブな会話の骨格です。
もちろん「これさえ守れば必ずアサーティブな会話だ!」といかないのが難しいところですが、どんなに難しいテーマでも基本はこの3点です。
さあ、職場で、ご家庭で、この3本柱を意識して会話をスタートさせてみてください!