効果抜群だけど、一人ではできないストレスコーピング(対処)があります。
それは「誰かに話を聴いてもらう」ということ。
腹が立ってどうしようもないとき、落ち込んでしかたないとき、私たちは誰かに話を聴いてもらうことで、心に渦巻くモヤモヤを整理し、また立ち直っていくことができます。
皆さんも愚痴の聞き役になるくらいなら、しばしばやっていますよね。これは相手のストレスコーピングに協力してあげているわけです。
ところが、この愚痴をどう聞いたものか、迷っている人も多いのでは?
たとえばランチトークでこんな会話になったことはないでしょうか。
相手:「いやもう、うちの課のAさん、本当にどうしようもないんですよ。全く自分で考えようとしないから、トラブルがあると全部こっちに丸投げですよ! 今日も自分でとった電話がクレームになりかけたら、こっちに渡してあとは知らん顔ですからね。おかげで午前中いっぱいずっとその対応に追われましたよ!」
あなた:「うわー、大変だねぇ。確かにあの人は困った人だよね~。」
相手:「でしょう? こないだも・・・」
パターンは違えど、誰しも身に覚えがある会話ですね。
相手はあなたの共感が得られると溜飲が下がってスッキリ、次のランチには新しいネタを携えてまたもや愚痴…と繰り返されることもしばしばです。
あなたとしては「Aさんは確かに困ったところも多いけど、いいところもあるんだよな…」とは思いつつも、目の前の相手に共感も示してあげたいので、とりあえず「そうだよね」とうなずくでしょう。
もちろん愚痴を聴いてあげてスッキリしてもらうのも悪くない役割ですが、一緒になってその人を下に見て「ダメだよね」で終わるのは、少し嫌な気持ちですね。
聴いてもらった相手も、実はスッキリの陰には「愚痴ってばかりも格好良くないな~」といった、少し苦い思いも抱いているかもしれません。
相手への理解も示してあげたいけれども、愚痴で終わらず、建設的な方向にも向かってほしい。どうしたらそれができるでしょうか。
ところでこの愚痴、これは問題について延々話している「プロブレムトーク」です。
プロブレムトークを重ねると、プロブレムは現実となっていきます。
話し出す前はうすうす「困ったやつだ」ぐらいに感じていたAさんの評価が、話し終えた頃には「どうしようもなく問題だらけのやつだ」という確信に変わっていることはありませんか?
プロブレムを語り続けるということは、本来はさまざまな評価が可能なAさんに対して「どうしようもない人」というストーリーを作り上げていくことになります。
「Aさん=どうしようもない人」というストーリーができあがると、Aさんと関わるときはそのストーリーの正しさを証明しようと、よけい問題ばかりに目が向き、そのストーリーに当てはまる点を見つけては「ああやっぱりね」とさらにそのストーリーを強化していきます。
このようにプロブレムトークを続けている限り、問題の解決は見えてきません。
愚痴を重ねた挙句にその人への効果的な関わり方を見つけた試しはありませんよね?
ではどうしたらよいか。
それは「ソリューショントーク」へと切り替えることです。
プロブレムトークが、問題を作り出している会話だとしたら、ソリューショントークは、解決を作り出す会話です。
ソリューショントークの詳細は次回お話ししたいと思いますが、今回はその入り口だけお伝えしましょう。
上の例では、共感を示しつつも、愚痴だけに終わらず、建設的な会話にしていきたいのでしたね。
ではまず、このように共感してみることとしましょう。
あなた:「うわー、大変だったね~。確かにあの人には困ったところもあるよね~」
・・・いかがでしょうか。確かに同じように共感しているのだけれど、冒頭の受け止め方とはなにやら印象が変わったと思いませんか?
いったい何がどう変わっているのか?
この小さな言葉遣いの変化が何をもたらすのか?
そしてソリューショントークとは一体?!
それはまた次回のお楽しみに!