さてスポーツの秋、読書の秋、勉強の秋と、様々なアクティビティに最適な季節となっていますね。
私もスポーツをやっていますが、試合の日など「ここ一番!」というときに、「うまく自分の力が出せたなぁ」と思うときもあれば、「全然ダメだった・・・」というときも。
特に「本当に集中できた!」というときは、そうめったにやってはきませんが、雑念もなく、身体と心がぴったりシンクロしている感覚があり、時間を忘れるような、とても気持ちのよい経験をすることがあります。
スポーツをされている方は一度や二度、こういった経験をお持ちではないでしょうか?
また、仕事においても「目の前の作業に没頭しており、ハッと気づけば時間がすごく過ぎていた」なんて経験はお持ちではないでしょうか。
よく作家の人々は、良い作品を生み出す過程で「降りてくる」といった表現をしていることがありますが、それに近い感覚を私たちも持つことがありますね。
さて、そのような経験は、実は「フロー経験」と呼ばれ、心理学の研究対象になっています。
フローとは、「ある活動を行っているときの、時間感覚を失うほどの高い集中力、楽しさ、自己の没入感覚で言い表されるような意識の状態」を指します。
この「フロー経験」を提唱したのはアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Csikszentmihalyi,Mihaly)です。
なぜ「フロー(flow)」と呼ばれるかというと、チクセントミハイがインタビューした人々の多くが、このような最適経験をしているときの感じとして、「流れている(floating)ような感じだった」「私は流れ(flow)に運ばれた」と表現したことからです。
このフロー状態にあるとき、私たちは高い集中力を示し、活動を楽しむと同時に、高いレベルの満足感、幸福感、自尊感情の高まりなどを経験します。
さらにこのフロー経験を持つことが、日常生活の充実感と関係があることがわかっています。
つまり私たちが毎日をイキイキと感じるためには、ギューッと集中した時間を持つこと、すなわち「フロー経験」が散りばめられていることが大事だというわけですね。
じゃあどうすればこのフロー経験を味わうことができるのか?
そのポイントを1つご紹介しましょう。
それは「活動に求められる能力と、自分の能力が高いレベルで合致していること」。
つまり、手を抜いても結果は変わらないというような、課題に比べて自分の能力が高すぎる状態でも、あるいは自分がどう頑張ろうと結果は出せないというような、課題に比べて自分の能力が低すぎる状態でも、フロー経験はやってきません。
課題に対して自分の持てる力を十二分に発揮させることでうまくいく、というような「手頃な挑戦」に臨んでいるとき、私たちのパフォーマンスは最大化されるわけです。
ビジネスマンの日常では、スポーツ選手とは違って、短時間の一極集中が必要な場面は少ないかと思いますが、「毎日充実しているなぁ」という感覚が乏しいという方は、この「フロー経験」に近づく時間を持つよう工夫してみてはいかがでしょうか。
たとえば自分にとって少しハードルの高い仕事を用意し、時間制限を設け、挑戦する。
1時間でクリアできるようになれば今度は50分、など、常に自分の能力とのバランスで時間制限を設けるなどすれば、難易度は調整できるかと思います。
我を忘れるような、集中した時間を持つことが、あなたの毎日を輝かせます。
毎日の仕事をチャレンジングな仕事に変える工夫を意識してみてくださいね!