すっかり寒くなってきましたね。
皆さんは風邪をひいたりなどしていませんか?
実はかくいう私はつい先日まで風邪をひいてしまいました。
熱が出ている真っ最中のときはただ寝込むしかないのですが、少し体が回復してくると、今度は布団の中で寝ていることが苦痛になってきたりしますね。
そんなときは、あれこれ余計なことが頭の中を巡っているものです。
「あの仕事がまだ手つかずだった、締切までに終わるかな」とか
「そういえばあの部分がいまいちだった、どうしたらよかったのか」とか
「こんなに休んでしまって、職場の人に『怠けているんじゃないか』とか思われていたらいやだな」
などなど。
こんなふうに考え出してしまうと、せっかく休んでいるのに心はちっとも休まりませんね。
心理的なストレスは「認知」が生み出すものですから、多くの人にとって安らぎの場所である布団の中でさえ、ストレスを感じる可能性は潜んでいるわけです。
もちろん、仕事場面においても同様です。
あなたがある仕事を新たに一つ任されたとしましょう。
そのときにストレスを感じたとしたら、たぶんこんなことを心の中でつぶやいてはいませんか。
「ああ、この手の仕事は関係者が多くてなかなか進まないから嫌なんだよな」
「こんなにたくさんの仕事を押しつけるなんて、なんて人使いの荒い上司だ!」
「でもこの仕事をうまくやらないと社内での評価は下がってしまうだろうし…」
・・・などなど。
これらの認知は、的を得ている場合もありますが、取り越し苦労の場合や、考えすぎのことも少なくありません。考えたことで、事態が好転することもあまりありません。
どうやら、あれこれと考え出してしまうことそのものがよろしくない、ということが見えてきませんか。
人間の思考は、放っておくとどんどん暴れだし、いろいろな問題を引き起こしてしまいがちです。
思考を暴走させないように手綱を握り、バランスの良いところにとどめておくのは、実はエネルギーのいることです。
皆さんも、睡眠不足だったり、残業をしてくたくたに疲れていると、どんどんネガティブな方向に考えが進んでしまった経験はありませんか?
つまり「余計なことを考えない」のは、実は大切なストレスマネジメントスキルなのです。
この余計なことを考えないでいる状態を、「マインドフルネス(=今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚して、それに対する思考や感情には捉われないでいる存在の有様)」と呼びます。
この状態を積極的に作り出していくことで、ストレスを減らす方法を、「マインドフルネス瞑想法」として、ストレスマネジメント研修でも実施しています。
その具体的な方法としては、「今ここの作業に没頭すること」です。
ご飯を食べることでも、歩くことでも、草むしりでも、皿洗いでも構いません。
単純作業に没頭し、悩みや心配事がむくむくと頭をもたげてきたら、「雑念が出てきたな、でもそれは置いておいて、この作業に戻ろう」と、また作業に没頭する、を繰り返します。
悩みや心配事を追いかけず、手放す練習をするわけですね。
余分な思考や感情は、過去か未来からしかやってきません。
過去の体験を思い出してあれこれ悩むか、未来のことをいろいろ心配するのどちらかです。
逆に、「今この瞬間」に集中している以上は、私たちは思い悩むことから解き放たれているわけです。
さあ、みなさんもぜひ、この「マインドフルネス」な時間を増やしてみてください。
すると思考に振り回されていた時間が減り、代わりに充実感を感じる時間が増え、毎日の生活が生き生きしてくることと思いますよ!