さあ、いよいよ年末も近づいてきましたね。
年末年始はご実家へ帰省される方も多いのではないでしょうか。
私は帰省するとあまり手伝いもせずゴロゴロしてばかりなのですが・・・
そんな私が唯一、「これだけはやっておこう」と意識していることがあります。
それは「母の話を聴く」こと。
うちの母は久しぶりに娘の顔を見ると、日々積もった些細な話をああだこうだと話してきます。
はっきり言って話は長く、「もういいから結論は何!」と思いながら聴いていることもしばしば。
しかしここが我慢のしどころ!
私にできる唯一の親孝行と思って(大げさですが)、耳を傾けることとしています。
あるときの話題はスーパーの駐車場で見た母子の話でした。
幼い子どもの手を引いている若いお母さんがイライラしていたのか、子どもをひどく罵倒した挙句、子どもを置いてスタスタ歩いて行ってしまい、子どもは必死にそれを追いかけている・・・という情景を説明してきます。
そのとき少しぼーっとしていた私は、ただ黙って聴いていたところ、母は「だからどうっていうことはないんだけど…」とつけたし、なんだか不安げな表情。
皆さんなら、こんなとき、どう返しますか?
「へぇ、ひどい母親だね」と調子を合わせますか?
「なんか事情があったんじゃないの?」と客観的な意見を述べますか?
「ふ~ん…」と当たりさわりなく、ぼんやりと返答しておきますか?
私はそのときとっさにこう返しました。
「その子の姿に胸が痛んだんだね」
すると母は「そうなのよ!」と勢い込み、ホッとした表情でまた話を続け出しました。
その反応を見て、私はこの一言が母にとって必要な一言だったんだなと感じることができたのです。
私たちはしばしば、「感じたこと」を分かち合いたくて話をします。
結論があるわけでもなく、オチがあるわけでもない。
聴き手を楽しませる話題でもない。ただこのモヤモヤを口にしたいだけ。
そんなとき、聴き手のリアクションが薄いと、話し手は「伝わっている?」と不安になったり、「やっぱりつまらない話だったか…」と自信を無くしたりします。
一方、うなずきやあいづちなど、聴き手がリアクションを示しながら聴いてあげると、話し手は「ちゃんと聴いてくれてるんだ」と安心して話すことができます。
さらに自分でさえはっきりとつかめていなかった「モヤモヤの正体」をしっくりくる言葉で言い当ててもらうと、話し手は「そう!それそれ!」と心の整理をつけることができます。
相手の話を聴くときには、ぜひ、相手の気持ちの鏡になってあげてください。
話の内容そのものではなく、そこに隠れた話し手の気持ちを受け止め、返してあげましょう。
「胸が痛んだんだね」
「悔しかったでしょう」
「それは驚いたろうね」
「ずいぶん嬉しかったんじゃない?」
などなど、そのエピソードに含まれた気持ちをぴったり表現してあげると、わかってもらえた喜びに輝く顔が見られると思いますよ。
普段は忙しくて家族の話をゆっくり聴いてあげる時間がない人も、年末年始はチャンスです。
家の大掃除をするように、心の棚卸ができると、スッキリと新しい年も迎えられます。
日頃の感謝の気持ちを込めて、よい聴き手になってあげてくださいね!