皆さんこんにちは。
そろそろ年度末、予算などの数字に胃が痛い思いをされている方も多いのではないでしょうか。
実はアイシンクは東大と共同授業を行っており(詳しくはHPをご覧ください)、半年間の講義と実践で、社会に出た後に必要になるベーススキルを学んでもらっています。
私はそこでヒューマンスキルを4コマ担当しているのですが、今年は中でも「ストレスコントロール」を扱った回が大盛り上がりでした。
社会人になった私たちにとっては、予算未達などが大きなストレス要因かもしれませんが、学生にとってのストレス要因といえば、試験、論文、そして「就活」です。
先日の朝日新聞にも、「内定がもらえずに思い詰めて自殺をしてしまう学生への対策が進められている」という記事が掲載されていました。就活で受けるストレスは、相当なものであるようです。
しかしもちろん社会に出た後も、ストレスは手を替え品を替えやってくるもの。
そこで「ストレスに強い考え方を身につけよう!」ということで、「就活に失敗してしまった」という状況をテーマに、学生の方々にストレスコントロールにチャレンジしてもらいました。
今回は、最初のステップとして、あえて「絶望する」方向で考えてもらいました。
皆さんも、自分が就活生で、「何社も面接で落ち続け、とうとう最後の一社からも、不採用の連絡を受け取った」という状況を考えてみてください。
そのときどんなふうにつぶやいたなら、この状況にとても「絶望」するでしょうか?
例えば、こんなつぶやきが考えられます。
- 「これで自分の人生は終わった」
- 「自分は社会から必要とされていないのだ」
- 「面接で落とされるのは、自分に重大な人間的欠陥があるからに違いない」
- 「いつも大事な局面で自分は失敗する」
- 「これからも、人生のあらゆる面においてうまくいかないだろう」
どうです、読むだけで非常に絶望的になってきましたね(笑
これらの思考は、普通の状態なら「こんな極端な考え方しないよ」と思いがちですが、実際にうまくいかない状況が何回も続けば、ふっと頭をよぎりやすくなるものです。
これらの思考は、今回はあえて考えてもらいましたが、本来は自動的にパッと浮かんでくるものなので「自動思考」と呼ばれています。
そしてこの自動思考につかまって、ぐるぐると何回もこのつぶやきを反芻するようになると、気分は落ち込み、胃は痛くなり、家に引きこもりたくなってしまうのです。
そこで次のステップは、この「自動思考」を「適応的思考」と呼ばれるものにスイッチしていくことが必要になります。
「適応的思考」とは、自動思考に代わる、「柔軟で現実的な考え」のことです。
もっと視野の広い、バランスの良い考え方がないものか、あれこれ選択肢を広げてみるわけです。
さあ、では皆さんも、1~5の自動思考に対する「適応的思考」を考えてみましょう。
ポイントは、「他人にアドバイスするつもりで考える」ことです。
あなたのそばに何かの失敗でひどく落ち込んでいる人がいたとしたら、きっと何か声をかけて、気持ちを切り替えてもらおうとしますね。
その言葉がまさに「適応的思考」になります。
例えばこんな感じでしょうか。
- 「就活がうまくいかなかったからといって、それで人生のすべてが決まるわけではない」
- 「希望の会社にとってはミスマッチだっただけで、根本的に社会に不要な人間とは判断できないはず」
- 「面接はある側面を見ているだけで、重大な人間的欠陥があるかどうかはわからない」
- 「よく考えれば、これまでの人生で成功を収めてきたこともたくさんある」
- 「今後もあらゆる面でうまくいかないという理由はどこにもない」
いかがでしょうか。こうつぶやくと、かなり心が軽くなってきますね。
ちなみに東大生用に準備した例でもっともウケたのは、以下の自動思考と適応的思考でした。
- ■自動思考:東大に行っているのに就職が決まらないなんて、親戚中に笑われるに違いない。
- ■適応的思考:東大生だからってなんでもうまくいくわけじゃない。うまくいかないことがあっても当然だ。
このように、私たちのストレスは私たちの「心のつぶやき」が発端となって生まれています。この心のつぶやきを見直すことで、ストレスをコントロールすることができるのですね。
さあ、皆さんも、ご自身のストレス要因に対しても、「自動思考」を発見し、「適応的思考」を考え出すステップにチャレンジしてみてください。
我がこととなるとなかなか難しいかもしれませんが、こののち一生あなたを助けてくれる、人生のベーススキルになりますよ!