さて今回は「どうやって人は伸びるのか」という話をしてみたいと思います。
若いメンバーを育てたい、でもなかなか思うようにはいかない…というマネジャーの方にはぜひ知ってもらいたい話です。
「ピグマリオン効果」という言葉をご存知ですか。
別名、「教師期待効果」ともいいます。
これは、「教師が意識するとしないと関わらず、子どもに期待を持って接することが、実際に子どもの学習成績を向上させる効果」を言います。
どういうことなのでしょうか。
この効果は、ローゼンタールとジェイコブソン(1936)が行った実験から明らかになりました。
彼らは学校の協力を得て、「能力開花テスト」なる、子どもの1年後の成績の伸びを予想するという触れ込みのテストを実施してもらいました。
そして先生たちに、好成績だった子どもたちが誰なのかをほのめかします。
ところがここにタネがあり、実はその子どもたちはランダムに選ばれただけでした。
はたして半年後、再びそのテストを実施してもらうと、なんと本当にその子どもたちの成績が、他の子どもたちに比べて明らかに伸びてしまっていたのです。
なぜこのような効果が生まれたのでしょう。
高い期待を持った子どもに対しては、教師に次のような行動がよく見られたそうです。
- ヒントを与える
- 質問を言い換える
- 回答を待つ
そしてこの関わり方の差について、教師は自分で気づいていなかったのです。
自分でも意識していないにも関わらず、行動が変わってしまっていたのですね。
ここがこの話のミソです。
教師が「この子はできるはず!」と期待を込めて見ていると、それが自然と行動に出てしまう。期待を感じ取った子どもはおそらくこう思うはずです。
「どうやら僕は先生に期待されているみたいだ!(自分でも知らなかったけど)僕って本当は頭のいい子なのかも。そしたらもっと勉強を頑張ってみようかな!」
人からまず信じてもらうことが、本人が自分を信じて努力をスタートさせるきっかけになるのですね。
ですから私が、マネジャーの皆さんにお勧めしたいことはこうです。
人を育てたいなら、そのメンバーを、キラキラした瞳で見てあげてください!
「君はすごいポテンシャルを持っている人材なんだよ!(キラキラ)」
あなたの期待は無意識に行動に現れ、それを察知したメンバーは、「マネジャーは僕に期待しているらしい! それじゃいっちょ頑張ってみるか」となるのです。
逆に「どうせこいつはこんなもんだ」という目でみると、期待通り、「どうせ僕はこんなもんですよ」という働きしかしなくなり、見事「こんなもん」となるのです。
人間ってこちらが向かい合ったように相手も応えてくれるんですね。
さあ、「相手を期待を込めたまなざしで見る」、始めてみましょう!