1月もあっという間に過ぎようとしています。
寒い季節ですが皆さんはお風邪など召していませんか?
さて、これまで何度もこのコラムで触れてきたアサーションとは、そこに問題があることを認め、解決に向けて話し合いを行う行為です。
しかし、私たちはそこに問題があると気づいていながらも、その解決に向けた行動を起こせないことがしばしばあります。
これは、あなたが何らかの「値引き」をしているからかもしれません。
「値引き」とは交流分析の中のある考え方ですが、「問題解決に関連する情報を気が付かずに無視すること」と定義されています。
たとえば「同僚が度を外れた大きな声で雑談する」といった問題があるとします。
そのことであなたはいつもイライラして気持ちが乱され、仕事に集中するのにたくさんのエネルギーを使っています。あなたはそのたびにおおげさなため息をついてわからせようとするのですが、相手は全く気づきません。
では、ここではどんな「値引き」が行われているのでしょうか。
値引きのレベルには「1.存在」「2.重要性」「3.変化の可能性」「4.個人の能力」があります。
ところで、あなたがここで用いている問題解決の方法は「ため息をつく」です。
この件では、「ため息をつく」という代替案について、いずれかのレベルで「値引き」をしていることが考えられます。
「1.存在」の値引きをしていたとしたら、あなたはため息を繰り返した挙句、心の中でこう言います。
「だめだな。この人はどうやっても気づきやしないんだ」
あれ?そうでしょうか。本来なら、ため息をつく代わりに、同僚に直接「大きな声で話すのをやめてほしい」と伝える方法も考えられるはずですが、ここではそのあるはずの代替案の存在を無視してしまっています。
「2.重要性」を値引きしていたとしたら、あなたは心の中でこう言います。
「あの人に『やめてほしい』と言ったとしても、鈍感なあの人のことだ、どうせ何も変わらないよ」。
このレベルは、代替案の存在には気づいていますが、その行動の持つ何らかの効果の可能性を無視してしまっています。
「3.変化の可能性」を値引きしていたとしたら、あなたは心の中でこう言います。
「あの人に『やめてほしい』といえばやめてくれるかもしれない。でも、同じ職場の人間に面と向かってそんなことを言える人間なんていないよ」。
この場合、あなたは代替案が存在することと、その結果についてはわかっていますが、誰かがこの代替案を実行に移す可能性については白紙にしています。
「4.個人の能力」を値引きしていたとしたら、あなたは心の中でこう言います。
「あの人に面と向かって『やめてほしい』という方法はあるだろう。でも私にはそんな大胆なマネはとてもできない」
この場合、代替案の存在とその結果、さらに誰かがこの代替案をうまく使うかもしれないこともわかっています。
しかし、自分がそうする能力については見限っているのです。
さあ、いかがでしょうか。あなたはご自身の未解決の問題についても、上記のいずれかのレベルで「値引き」をしてはいないでしょうか?
このように、私たちが何らかの問題に対して受動的になり、行動を起こそうとしない背景には「値引き」が絡んでいるかもしれません。
値引きをすることで、問題解決に対して能動的にならずに済みますので、望ましい状態ではないにせよ、おなじみの楽な状態でいられます。
ただ、あなたが大人として本来持っている能力を総動員し、きちんと問題に向かい合って行動を起こしたなら、結果はともあれ、あなたの中に大きな自信が芽生えることは請け合いますよ!