さて、今回は上司の方の言葉の「影響力」について考えてみたいと思います。
職場では、ときどき上司の方がそのつもりはなくとも、部下の方に「呪い」をかけている様子を目にします。
「このままじゃあなたはリーダーとしてやっていけないよ」
「こんな調子じゃ目標達成できないぞ」
などなど。
もちろんこれらは部下に発破をかけて、奮起してほしいとの思いからでしょうが、その効果は、部下に対してその「不幸な未来」を成就させようとする方向に働きます。
「あなたはこうなるぞ」という負の宣告はしてはいけません。
その通りの未来を実現させることになるからです。
どうしてなのでしょうか。
多くの人は「現在の自分」は「過去」に規定されていると思っているかもしれません。
ですが、本当は「現在の自分」は「未来」に規定されているのです。
例えばあなたが朝の段階で、今日の定時後について思い描いたとき、「今日は残業するだろう」と思っていたら、ほぼ100%残業することになります。
「今日は定時に帰るだろう」と思っていたら、ほぼその通りになります。
もちろん予定外のことはあるかもしれませんが、多くの場合は、自分が思い描いた通りに過ごすこととなるはずです。
「残業するだろう」と思っている人は、残業時間込みで仕事を終わらせるイメージを描き、それに向けた段取りや時間配分で「現在」も行動します。
「定時で帰るだろう」と思っている人は、定時内で仕事を終わらせるイメージを描き、それに向けた段取りや時間配分で「現在」も行動します。
実はこのように「未来」が現在のあなたの振る舞い方を決めているのです。
手にしている未来イメージに向けて、私たちは現在の一歩を踏み出すわけですね。
すると未来が見えていない人や、不幸な未来しか見えていない人は、立ち止まっているか、不幸な未来に向かってまっしぐらに歩くことになるのです。
もしあなたの部下が「不幸な未来」を見せられて、「何を!そんな未来はごめんだよ!」と反発し、自分で「幸せな未来」を描き直せる方なら問題ありません。
ですが、「そうかもしれない…」と受け入れてしまう人には、呪いの効果はテキメンです。
特に権威のある方、ステータスのある方は呪力も強いですから、お気をつけください。
上司の方は、先が心配な部下がいるのでしたら、ネガティブな未来イメージではなく、ポジティブな未来イメージを描けるようにお手伝いしてあげてください。
- 「あなたは5年後、どうなっていたいか」
- 「期末を迎えたとき、どうなっていればいいか」
- 「そのためになにがやれそうか」
- 「誰が協力してくれそうか」
- 「とりあえず何から始めるか」
などなど、手にしたい解決像をクリアにし、そのための資源(リソース)を拾い上げ、やれそうなアクションを特定する。
こんな未来予想ができればしめたものです。
部下の方はそのポジティブな未来に向けて、現在の行動をスタートさせるでしょう。
さあ、上司の方はその影響力を「幸せな未来」を描くためにフル活用してみてくださいね!