私たちは毎日職場に出かけていき、いろいろな人と交流する中で、さまざまな気持ちを味わっています。
お互いに「いい仕事をしているね」という満足な気持ちになることもあれば、自分や相手の力不足を感じて不満や不安を覚えたり…という気持ちになることもあります。
交流分析ではこの気持ちを生み出すベースに「人生の基本的立場」という、自他に対する態度を想定しており、それを4つのポジションに分けています。
たとえば会議に参加したときのことを想像してみましょう。
話し合いは主張がぶつかり合って先行きが見えず、皆はぐったりしつつあります。
そんなとき、4つのポジションでの捉え方を比較するとこのようになります。
1.「I’m OK、You’re OK」(自己肯定、他者肯定)
「私も他の人も完璧じゃないけれど、それぞれ価値のあることを言っている。
お互いに歩み寄れるところがあるはずだ。めげずに話し合おう」
など、お互いの不完全さを認めつつも、肯定的に受け止めているポジションです。
建設的に問題解決に取り組むことができる姿勢ともいえるでしょう。
2.「I’m OK、You’re not OK」(自己肯定、他者否定)
「まったく、なんてみんな浅はかなんだ! まともに考えてるのは自分だけだ!」
「ほんと、頭かったいな! こんな奴を相手にしてたら日が暮れてもまとまらない!」
など、相手の欠点や不足が目に付き、心の中で見下しているときのポジションです。
3.「I’m not OK、You’re OK」(自己否定、他者肯定)
「他の人に比べたら私の経験なんて少ないし…私が間違っているのかな。」
「さっきの専門用語、なんて意味かな。でもわかってないのは私だけかも…」
など、自分の欠点や不足が気になり、劣等感にとらわれているときのポジションです。
4.「I’m not OK、You’re not OK」(自己否定、他者否定)
「どうせ話し合ったって何も変わりっこないんだよ。
僕の意見なんてたいしたもんじゃないし、みんなも好き勝手なこと言ってるだけさ。」
など、自分も相手も否定的に受け止め、虚無的・絶望的になっているときのポジションです。
この4つのポジションは固定的なものではなく、刻々と移ろっていきます。
この4つのポジションを4象限で表現したものを、牛が牧草を求めてうろうろと場所を変えていく様子になぞらえ、「OK牧場」と呼んでいます。(ガッツさんとは関係ありません!)
ところで、放っておくと私たちは「なじみ」の牧草地に足を運んでしまいます。
その立場から自他の振る舞いを眺めては、その立場に見合う証拠を集め、「ほら、やっぱりこの人はだめね」「ああ、やっぱり私はだめだ」と、その立場の正しさを証明することにいそしんでしまうのです。
建設的な時間を過ごしたいのであれば、カッとなったときや不安になったとき、「あっ、いま自分はどこのポジションにいるかな」と、心のポジションを確かめてみてください。
気づくことで、私たちはどのポジションに移るか、選択することもできます。
「I’m OK、You’re OK」の牧草地が、ホームポジションになりたいものですね!