最近みなさんは、どんな感情がおなじみですか?
毎日喜びをかみしめている人もいれば、始終イライラを感じている人、なんだかうつうつとしている人、なんとなく不安感にさいなまれている人、いろいろかもしれません。
こんなにも私たちに影響を与えている感情ですが、その取り扱い方を学んでくることはあまりありませんでした。
特に私たちビジネスマンは、まるで感情がないかのように振舞うことが一種の美徳とされがちです。
- 心血を注いだプロジェクトが中止になって「がっかり」しているのに、「よくあることだよ」と平気な顔をする
- 上司から一方的に注意されて「悔しさ」や「怒り」を感じても、「怒るなんて大人気ないから」と、何にも感じていないフリをする
- 自分の力ではこなしきれない仕事を与えられて「不安」や「苦痛」を感じているのに、「これぐらいできなくては」と、その気持ちを抑え込む
など、一度は身に覚えがあるのではないでしょうか。
もちろん、私たちは社会に生きている以上、社会から要請される役割にある程度は応えていく、適応の努力は欠かせません。
しかしそれが行き過ぎると、「怒り」や「不安」などの感情を持つことさえ自分に「禁じて」しまうことがあるかもしれません。
ですが、感情は私たちが生きている証であり、私たちに大切なことを教えてくれる機能でもあります。
たとえば代表的な感情には「怒り」「悲しみ」「不安」「喜び」がありますが、それらはこのようなことを教えてくれます。
1.「怒り」
怒りは、不当な仕打ちをされたという侵害感や、心身の安全が脅かされると感じたとき、あるいは自分が欲しているものが手に入らないときの感情です。
小さな怒りから激怒まで幅があり、他者に対する怒りは攻撃的行動となったり、自分に対する怒りは自己嫌悪となったりします。
2.「悲しみ」
悲しみは、大切なものを失ったという喪失感と関係する感情です。
自分の世界の中に閉じこもりがちになったり、長く続くとうつになることもあります。
力を温存し、自分をそうっとしておくことで回復を図り、他者の援助を引き出すことにもつながります。
3.「不安」
不安は、危険が迫っているという危機感と関係する感情です。
危険に立ち向かうだけの力がなかったり、周囲の手助けが得られないと認識すると、危険を避けようとする回避行動が現れます。
自分を守り、発奮し、行動的になることにもつながります。
4.「喜び」
喜びは、大切なものを手に入れたという獲得感と関係する感情です。
活動性が高まり、外向的になります。
このように感情は、自分に何が起きているかを教えてくれる機能でもあり、その後の行動にも影響を与えています。
それなのに、感情のサインを無視していては、自分が何を大事にしたいのか、自分が何を失ったのか、自分に何が迫っているのか、わからなくなってしまうかもしれません。
あるいは、制御しているつもりの感情に思わぬ形で振り回されてしまうかもしれません。
- 抑えていたはずの怒りが、思わぬタイミングで爆発してしまう
- モヤモヤ、うつうつを抱えているうちに、体が重くなり、だるくなる
- 嫌だなぁと思いながらも許諾の返事をしていたところ、土壇場でひるがえしてしまう
…などなど、自分の意思とは裏腹の結果を招いてしまうかもしれません。
心の中がモヤモヤしても無視してしまうことが習慣になっている人は、まずは自分の感情を言葉に直してみましょう。
「ああ、今回のことは“がっくり”きたなぁ」とか、「あんなこと言われてあれは“悔しかった”なぁ」とか、「あ~、この状況って“苦しい”なぁ~」など、そのモヤモヤにぴったりの「名前」をつけてみてください。
「がっかり」も「悔しい」も「苦しい」も、あなたの感情の一部なのですから、ネガティブだからといって否定しなくてよいのです。
感情に気づくことと、表現することは別のことで、表現方法はまた学ぶ必要のあるものですが、まずは理解することが適切な対処にもつながります。
さあ、モヤモヤしたときは心の中を丁寧に見つめ、ぴったりの名前をつけてみませんか!