さて、今回は相手からの「お誘いを断る」ときの方法について考えてみたいと思います。
Aさんはチームの中堅として働くメンバーです。
プロジェクトの山場を越えたある日の夕方、同じチームの先輩Bさんがみんなに「今日飲み行かないか」と声をかけています。
いつもこういうときは誘われるままに参加するAさんですが、「今日は早く帰ろう」と朝から思っていたので、勇気を出して断ることにしました。
そしてBさんが自分のところにお誘いに来ました。
【TAKE1】
Bさん「Aさん、今日は山場を越えたことだし、みんなで飲みにいかないか?」
Aさん「あ~…すみません、今日はちょっと…」
Bさん「…そうか、わかった、また今度な!」
ふだん「断る」ということをなかなかしないAさんは、こんなとき何と言っていいかわからず、思わず「今日はちょっと…」と言葉を濁すだけとなってしまいました。
これでも十分「今日は行かない」という意志は伝わります。
しかし、Bさんとしては「誘ったのは迷惑だったんだろうか」「なんだか取りつく島がないな…」と思ったかもしれません。
どうして「今日はちょっと」なのか、Aさんはもう少しオープンになるほうがよさそうですね。
【TAKE2】
Bさん「Aさん、今日は山場を越えたことだし、みんなで飲みにいかないか?」
Aさん「あ~…すみません、子どもに『早く帰る』って言っちゃってまして…」
Bさん「…あっ、そりゃそうだよな、悪い悪い!」
さて、今回は先ほどよりも「取りつく島」もでてきましたね。
しかし、このような「事情」を知ったBさんは、「小さい子どもがいるのに誘ってしまって、無神経だったかな」「これからも誘わないほうがいいのだろうか」と、今後の行動に迷いが出るような気がしました。
Aさんも、なにやら子どもをダシに使ってしまったような気もしました。
「断ること」そのものは、さまざまな事情を持ち出せば、納得してもらうのにそう難しいことはありません。
- お金がないから
- 疲れているから
- 別の予定が入っているから
- 家事が溜まっているから
しかし、ちょっと考えてみてください。
これらの事情があろうとも、行く人は行きますよね?
また、相手が強引な場合、これらの「事情」だけだと押し切られることもあります。
(「金なら貸してやる!」とか「飲めば元気になる!」とか 笑)
それらの事情はもちろんあるにせよ、「行かない」ことを決めているのはあなたです。
そこで「事情」を盾にせず、その「事情」に基づき「あなたはどう思っているのか」、「あなたの気持ち」を添えてみてください。
【TAKE3】
Bさん「Aさん、今日は山場を越えたことだし、みんなで飲みにいかないか?」
Aさん「あ~…、すみません、行きたいのはやまやまなんですが、子どもが家で待ってまして、しばらく帰りが遅かったので、今日は早く帰ってあげたいんです」
Bさん「おお、そうか、そうだよな」
Aさん「遅い日が続いたあとじゃなきゃ行きますから、また次のとき誘ってください」
Bさん「おお、もちろん!」
さあ、いかがでしょうか。
「事情」だけでなく、「あなたの気持ち」が見えたことで、Bさんは「Aさんが決めたことなのだ」とわかり、先ほどのような誘ってしまったことを気に病む必要はなくなりました。
何より、あなたとしても、「家族をダシに使った」のではなく、自分で選択しているのだというすがすがしさを感じたのではないでしょうか?
また、今回のお誘いは断るけれども、次への提案をすることで、「誘われること自体は歓迎」ということも自分から伝えることができました。
断ることは、すべて「NO」なのではなく、自分で「YES」の範囲を決めることです。
さあ、「自分の気持ち」を添えることを忘れずに、「断る」ということも、あなたの人生の選択肢に入れてみてくださいね!