感情は私たちの心の状態を知るメーターです。
「楽しい、うれしい」などのポジティブな感情を感じることが多ければ、おおむねいい調子といえます。
「悲しみ、怒り、不安」などのネガティブな感情を感じることが多ければ、ちょっと低調気味といえるでしょう。
ただし、感情は一定ではなく、現実の世界に対応してころころと「動く」のが普通です。
ところが、私たちはビジネス場面では、自分の感情(メーター)が動くことを恐れる節があります。
- どんな言葉を投げつけられても、何一つ傷つかず、平気で受け流せる
- 尽力してきた案件が中止になっても、いちいちがっかりしない
- ライバルに出世で先を行かれたときも、別に悔しがったりしない
など、どんな出来事に出くわしても「感情が動かない」こと、「動じない」ことが望ましいと考える方もいるかもしれません。
しかし、ネガティブな感情は私たちにとって、大事なことを教えてくれる「アラーム」でもあります。
ネガティブな感情は、現実の世界に何かしなくてはいけないようなことが起きていることを知らせてくれるものなのです。
昔の車には、一定速度を超えると「キンコンキンコン」とアラームが鳴る仕掛けがありましたよね。
あのせっかちでかん高い音は長く聴いていたい音ではなく、やむなく減速したのではないでしょうか。
怒りも不安もゆううつも、あまり長く味わいたい気持ちではありません。
だからこそ、「このままではいけない!」と行動を促す力があるのです。もし心地よい感情だったらそのままにしてしまうことでしょう。
ぶつけられた言葉に「痛み」を感じることで、その人と「話し合い」を持ったり、「思い切って距離を置く」という行動をとるわけです。
あるいはライバルに先を越されて「悔しさ」を感じることで、次は抜き返してやろうと努力するわけです。
「現実」に対応して「感情」が動いてくれるから、適切な行動につながるわけですね。
何が起きても「動じない」よりも、「動じてこそ」メーターとしては正しく機能しているわけです。
ところが、ストレスがかかっているときなど、メーターの「不具合」もときとして起こります。
- いつもなら楽しい休日のはずなのに、ちっとも楽しくない
- ほんのささいな不快な出来事に、爆発するような怒りを感じる
- 実際はそこまで難しくない仕事なのに、不安でたまらなくなる
- わけもなく悲しくなる
こんなふうに、「現実」と「こころ」の動きがミスマッチを起こしてしまうのです。
寝ても覚めても同じ感情を引きずっていたり、現実とは不釣り合いなレベルで感情が噴出してしまったり、理由もなく怒ったり悲しんだり・・・。
これでは、感情をメーターとして信頼して、適切な行動を起こすことにつながりません。
このようなときは心が少々疲れているときですから、メンテナンスが必要です。
少し休みを取ってみたり、あなたに元気をくれる人と話をしてみたり、自分に無茶な要求を出していないかなどを見直して、ご自身を労わってみてください。
感情をただ遠ざけようとせず、ぜひ自分の心の状態を知るメーターにしてみてくださいね!