会議室を出てきた同僚が、足音荒く席に戻り、机をバンと閉め、キーボードを激しく打ち出しました。
すごくイライラしているみたい。
あなたは心の中でこんなふうに思うかもしれません。
「も~、なんだよ、そんなにガチャガチャキーボード打たれたらうるさいじゃないか」
・・・あらっ?
あなたもすでに「イライラ」していますね?
あるいは、同僚が新しい仕事になかなかなれず、不安そうな面持ちでパソコンに向かっています。
「う~ん、大丈夫かなぁ。あんなに抱え込んじゃって、パンクしないといいけど…」
・・・あらっ?
あなたもすでに「不安」になっていますね?
ついさっきまでは「イライラ」や「不安」ではなかったのに…
このように、身近にいる他者の感情を感じ取って、自分自身も同じ感情状態になることを「感情伝染(emotional contagion)」といいます。
この現象は「共感」の原初的な形態で、「思いやり」のような高次な共感につながっていくと考えられています。
この現象の特長は「瞬時に、無自覚に、どこでも」起きてしまうというところです。
気づかぬうちに、すでに近くの人に影響された感情状態になってしまっているわけです。
これは自分としては、感情の持ちようについて戒めなければならないところです。
「私がイライラしようが勝手でしょ!」とは言えません。
職場全体のムードに(当たり前といえば当たり前ですが)強く影響を与えてしまうわけです。
もちろんこれは、ポジティブ感情についても同じ現象が起こります。
「喜び」や「ワクワク」など、ハッピーな感情の人の近くにいれば、周りの人もその感情を共有できるわけです。
楽しそうにしている人の近くにいると、こちらもなんだか楽しくなってきますものね。
感情状態は職場の生産性に大きく影響を与えます。
膨れ上がったネガティブな感情は、目の前のことに対する集中力や判断能力を奪います。
一方でポジティブな感情は、創造性や物事へのアクセシビリティを高めてくれます。
とくにマネジャーの方は、まず自分が「ポジティブな感情」でいられるように、心がけてみてください。
立場が上の方の感情状態は、上から下に水が流れるように、簡単に職場に広がっていきます。
あなたが「ごきげん」を意識するだけで、メンバーがイキイキし始めるはずですよ!