さて、2016年度ももう終わりとなりますね。
昨年4月に新しく迎えたメンバーとも、もう1年を一緒に過ごしたことになります。
ところで、最初の頃はアンテナをしっかり立ててその人を理解しようとしていたのに、だんだんアンテナの精度を落としてしまっていませんか?
時間が経った関係になると「ハイハイ、いつものくだりね」とか、「この人は大体こういうときこんなふうなことを言う人よね」と予断をもって話を聴きがちになります。
もちろん、これまでの情報はその人を理解する上での助けにはなってくれますが、逆にそれにとらわれると、「変化」を見落としてしまうことにもつながりかねません。
ある人のエッセイで、以下のニュアンスのことが書いてあり、「なるほど!」と思った覚えがあります。
「あなたのことがもっと知りたい」というのは、関係の始まりを示す言葉である。
「あなたのことがよくわかった」というときは、関係の終わりを告げる言葉である。
う~ん確かに、「あなたはこういう人間ね」と心の中で断罪するのは、そういうタイミングですよね…笑
そしてそんな「見切り」をつけてしまうと、その筋書きに当てはまらない出来事や振る舞いは都合よく無視されてしまいます。
例えばマネジャーとして部下を育成する立場にある人が、「この部下は受け身な人間だ」と、相手に対する理解を完結させてしまっていたら、たとえその人が積極性を発揮している場面があっても、全く目に入らないでしょう。
ナラティブ・セラピーという心理療法に、「無知の姿勢」という言葉があります。
セラピストは相手に対して、「知らないという姿勢をキープせよ」ということです。
相手のポジティブな変化を見出し増幅するためには、「この人はこうだ」と決めつけず、「理解の途上にとどまりつづける」ことが大事なんだ、と言っているんですね。
メンバーの成長を望むマネジャーの方にも、この姿勢は大事ではないでしょうか。
「成長してほしい」といいつつ、「この人はこうだ」という目線でしか見なければ、小さな変化は見過ごされて立ち枯れてしまいます。
相手に対する理解を「さしあたり」のものとして、常にキャッチの構えを持っておく。
それが関わる相手のポジティブな変化を見出し、相手の変化を促すことにつながります。
いつも新鮮な気持ちをもって、目の前の人と向かい合っていきたいですね!