第2回は、佐藤さん(仮名)からの悩みです。
佐藤さん 34歳/PM歴3年/製品開発プロジェクトのチーム・リーダー
私の悩みは、プロジェクト・マネジャーのNさんが私の業務の忙しさをまったく理解してくれないことです。
Nさんからの依頼内容は、協力会社さんに委託しています。
もちろん協力会社さんが実施している作業についても、進捗管理やレビューが必要ですし、その管理の工数はばかになりません。
ところがNさんは、「作業はほとんど外注しているのだから、君自身は余裕があるだろう」と言って、次から次へと仕事を割り振ってきます。
一方で、「プロジェクトでは終結が大事だから、しっかりとノウハウの蓄積をしろよ」などと言います。
終結の時期には、たいてい次のプロジェクトの立ち上げと重なっていて、終結の時間なんてとてもとれません。
どうしたらNさんに、管理も時間のかかる仕事だとわかってもらえるでしょうか。
回答
それは困りましたね。そのような状況ではストレスがたまるのも仕方ありませんね。
ところで、佐藤さんはプロジェクト業務を開始する前にWBS(Work Breakdown Structure: プロジェクトの作業範囲を構造的に示したもの)を作成していますよね。
WBSで明らかになった仕事について、計画して実行しているはずです。
WBSの原則を思い出してください。「WBSにない仕事はやってはいけない」、これは裏を返せば、「プロジェクトでやるべき作業はすべてWBSにいれなければならない」のです。
佐藤さんは、進捗管理やレビューといった協力会社の業務管理を必要だからやっているはずです。ならば、外注管理もひとつの作業としてWBSに明記し、スケジューリングし、その工数を予算に計上する必要があります。
そうすれば、佐藤さんの業務も定量化されて、上司に見えるようになるはずです。
実は、終結がなかなか実施できないという事象も、同じ原因で起きている可能性が高いのです。
佐藤さんの「終結作業:プロジェクトマネジメント報告書作成」は、WBSに含まれていないのではないですか。WBSに含まれておらず、担当者も割り当てられていなくて、スケジューリングもされていない作業が実行されるはずがありません。
WBS作成にあたっては、無条件にレベル2に「プロジェクトマネジメント」という要素を配置することをお勧めします。
そして、レベル3以下に、「外注管理」あるいは「プロジェクトマネジメント報告書作成」といった作業を配置します。
こうすれば、これらの作業がやるべき作業として見える化され、そしてスケジュールに入れておけば実行されるようになります。
ぜひ、すぐにでもお試しください。