第9回は、斉木さん(仮名)からの悩みです。
斉木さん 33歳/PM歴2年/機械メーカーの技術職
プロジェクトマネジメントを学んで、いかにマネジメントが必要かを痛感しました。
しかし、実際にマネジメントを行うとなると、上司がそのための時間を取ることを許してくれるとは思えません。
実務作業を行うだけで、時間がめいっぱいです。
どうしたら、マネジメント時間の確保について上司を説得できるでしょうか。
回答
せっかく学んだことが、活かせないとなると、ストレスを感じてしまいますね。
ところで、斉木さんの行っているプロジェクトは、マネジメントが必要だと感じているということは、それなりの複雑さを持ったプロジェクトなのでしょうね。
複雑なプロジェクトにはマネジメントが必要です。
マネジメントが必要なプロジェクトに対して、適切なマネジメントを行っていないのであれば、それによるロスが生まれているのではないでしょうか?
例えば、プロジェクト憲章を作成せず、プロジェクトの背景や目的を誤解したままでプロジェクトを進めたら、依頼者の意図と違った余計な作業をする可能性はありませんか?
WBSを作成せず、プロジェクトのスコープを合意することなしに進めたら、しなくてもよかった作業に工数をかけたり、手戻りで工数が増えたりしませんか?
リスク登録簿を作成せず、上司とのリスク共有を行っていないために、リスク発生時にどたばたになって、非効率なトラブル処理をするはめに陥りませんか?
プロジェクトマネジメントを行うと、行わない場合より、トータルの時間・工数は小さくなります。そうでないとマネジメントの意味がありません。
もし、これまでマネジメントをせずに20日で実施していた一連の作業があったとすれば、1日をマネジメントに費やした場合、トータルは21日ではなく、当初と同じ20日かそれ以下でできる可能性が高いのです。
それならば、上司にマネジメントのための追加の時間を要求しなくても済むはずですね。
ぜひ一度しっかりと「プロジェクト憲章」なり「WBS」なり「リスク登録簿」なりを作成して、上司を含む関係者と共有してみてください。
きっと、これらを関係者と共有することによって、プロジェクトがいかにスムースになるかに驚かれることと思います。
「複雑なプロジェクトではマネジメントがトータル工数を減らします」
ぜひお試しください。