第13回は、牧村さん(仮名)からの悩みです。
牧村さん 38歳/PM歴10年/情報システム部
私の部署では、常時7~8つ のプロジェクトが走っていて、私はそのとりまとめをしていますが、各プロジェクトの進捗がうまくつかめなくて困っています。
プロジェクト・マネジャーによっては、毎週きちんと進捗率を報告してくれるのですが、「忙しくて・・・」といった理由で、なかなか報告してくれない場合が多い状況です。
上がってくる報告も、その進捗率の根拠が不明で、その精度に不安があります。
上司からは定期的に正確な進捗報告を求められており、毎週のように進捗管理で苦労しているのですが、なにかいい方法はないでしょうか。
回答
確かにプロジェクトを管理する上で、進捗の把握というのは本当に大変ですね。
進捗を報告してくれないという件については、ひとつには先月ご紹介した通り「マネジャーが自ら進捗を聞きに行く」という手がありますが、もうひとつ、進捗管理を容易にする手法を紹介しましょう。
進捗報告がはかばかしく上がってこない原因のひとつに、「進捗報告に手間がかかる」ということが考えられます。
よく見かける手間がかかる進捗報告のやり方は、「作業ごとの進捗率を報告する」というものです。
この方法では、報告者は作業毎の進捗率を算定するという手間をかけなくてはなりません。
これはあたりまえのように思われるかもしれませんが、実はもっと簡単な進捗報告の方法があるのです。
それは、「50-50ルール」あるいは「0-100ルール」と呼ばれる方法です。
「50-50ルール」では、ある作業について、着手したら50%、完了したら残りの50%を計上します。
「0-100ルール」では、ある作業について、完了したら初めて100%と報告します。
これだけ聞くと、精度が低くて話にならないように感じるかもしれませんが、この方法は、スケジュール表の1つのタスクをさらに分解した担当者レベルの作業で行うものです。
たとえば、あるプロジェクトについて、末端レベルの作業が100個あったとします。
このとき、3つの作業に着手していて、そのうちの2つがすでに完了していれば、「50-50ルール」なら、それぞれの作業の報告は、50%のものが1つと100%のものが2つで、プロジェクトレベルでの集計結果は 0.5/100 + 2.0/100 = 2.5/100 = 2.5% となります。
決して、精度が低いとは感じないのではないでしょうか。
個々の作業についてその進捗率を出そうとすると過大な手間がかかりますが、着手したかあるいは完了したかの判断をするのはきわめて容易です。
報告の手間がかからなくなると、報告自体も容易に上がってくるようになるはずです。
この報告方法の精度を高めるコツは、作業ごとの粒をそろえることです。大きな作業の完了と、小さな作業の完了では意味が違います。
大きいプロジェクトなら個々の作業は1週間程度、小さいプロジェクトなら個々の作業は2~3日程度の工数となるようそろえておきましょう。
もし、さらに精度を高めたいなら、作業ごとの重み付けをする方法もあります(EVMと呼ばれます)。
その場合は、それ相応のマネジメント負荷が増えることを承知する必要があります。まずは、重み付けなしで、運用することをお勧めします。
「末端の作業は『着手・完了』で進捗を管理する」
ぜひ、お試しください。