今回は、原田さん(仮名)からの悩みです。
原田さん 39歳/PM歴11年/流通関連のプロジェクト・マネジャー
プロジェクトの成功にはトップの支援(ヒト、モノ、カネ)が不可欠であると思うのですが、私のプロジェクトのトップ(スポンサー)は、あまり協力的ではありません。
本当に支援がないと困るので協力を依頼するのですが、「そこをなんとかするのがプロジェクト・マネジャーの務めだろう」というばかりで、期待通りの支援をしてくれたためしがありません。
「プロジェクトが成功しないと困るのはお互いのはずなのに…なぜ?」と思ってしまいます。
どうしたら、必要な支援を得られるようになるのでしょうか。何かコツがあれば教えてください。
回答
なるほど、困ったときに必要な支援を得られないのでは、プロジェクト・マネジャーとしてつらいですよね。
トップの支援を得るためには、2つの視点が必要です。
- 支援の必要性を認識してもらうこと
- マネジャーとして信頼されること
支援の必要性を訴えるのは当然ですが、さらに訴えに真実性をもたせ、トップの行動を促すためには、マネジャー自身がトップから信頼され、好かれていることが重要です。
これら2つを実現するための一番のツールはコミュニケーションです。
つまり、定期的にトップに対して、簡潔な進捗報告をする必要があります。
普段は黙っていて、困ったときだけいきなり支援を求められても、トップの方も心の準備や支援の準備ができていないことが多いのです。
支援を必要とするかもしれない案件は、プロジェクトマネジメントではリスクとして取り扱われます。
進捗報告の中では、プロジェクトの進捗状況だけでなく、必ずリスクの状態と、トップの支援の有無を入れるようにします。
最初の計画時だけリスクを示しても、その後何も言ってこないと、トップの方も「何も問題がないのだろう」と思い込んでしまいます。
そこで、定期的な進捗の報告のなかで、リスクがどうなっているのか、支援が必要になりそうなのかを伝えられていれば、トップの方も準備することができます。
「リスクです、リスクです、リスクです」と日頃から報告されている案件を無視していれば、何かあったときにトップとしての責任を免れないという気持ちにもなります。
もちろん、手当たり次第にトップに上げるのではなく、プロジェクト・マネジャーとしてできる限りのリスク対策をし、それを報告しておきます。
それで、ここぞというときに、支援の要請をするのであれば、トップの方も「やることはやった上での要請なんだな」と納得できます。
また、定期的なコミュニケーションはそれだけでも信頼感および好感度のアップにつながります。
たとえば、まったくの他人であったとしても、毎朝「おはようございます」とにこやかに声をかけてくれる人がいたら、いつしかその人がいい人に思えてきませんか?
「トップと定期的にコミュニケーションをとれば、必要な支援が得られる可能性が高くなる」と信じて、マネジメントに励みましょう。