前号では、プロジェクト・マネジャーの1番目の武器として「プロジェクトマネジメント知識体系」を取り上げました。今回は、2番目の武器、「人間力」について考えてみます。
この「人間力」は、組織が与える事が出来ない影響力、つまり非公式の影響力です。非公式という事は、大きくも小さくも変化するということでもあります。
公式の影響力(権限)を持つ組織上の上長(ライン・マネジャー)と違い、プロジェクト・マネジャーの公式の影響力(権限)は、必ずしも大きくありません。
人事権まで持っている事はまれですし、また、チームの中には自分よりも組織上でのポジションが高い人が含まれる場合も少なくありません。
そのような状況下において、狩猟型プロジェクト・マネジャーの2番目の武器、「人間力」は、プロジェクトを成功に導くための効果的な武器の一つとなります。
ただ、ここでの「人間力」とは、歴史上の著名な人物、例えば西郷隆盛やケネディといった偉人が持っていた人間力とは少しイメージが違うかもしれません。
プロジェクト・マネジャーに必要な人間力とは、それほどに大きな物である必要はないのです。
「プロジェクト・マネジャーはプロジェクトを成功させる責任がある」という視点から考えると、公式の影響力を補完する影響力としての「人間力」で十分です。
大切なことは、2つの種類の「影響力」があるということをまず認識することです。この点を意識していないで、公式のポジションの公式の影響力だけしか考えないと、チームの反発などがおきやすくなります。
このプロジェクト・マネジャーにとって強力な武器となり得る人間力には、
- リーダーシップ力
- コミュニケーション力
- 情熱
といった人間的な様々な要素があります。
これらの要素は、プロジェクトを成功させていく上で重要な要素でもあり、またプロジェクト成功のための武器となるものです。
残念ながら、この非公式の影響力は組織から与えることが出来ません。
ただ、これらの要素は、自身で大きくする事が可能です。
つまり自身で磨くことが出来る「武器」の一つなのです。