12月14日付のasahi.comにて次のタイトルが目に飛び込みました。
「アルジェリア高速建設、日本側に1千億円超未払い」
またか、という思いで記事を読みました。少し長いですが、記事抜粋します。
「北アフリカのアルジェリアで鹿島など日本の企業連合が受注した高速道路の建設工事をめぐり、完成区間の代金1千億円超が支払われないトラブルが起きている。アルジェリア外相は13日、朝日新聞のインタビューで日本側の対応に不満を表明。工期も大幅にずれ込んでおり、企業側に損失が出る恐れがある。
問題の道路は、アルジェリア公共事業省が発注した「東西高速道路」。鹿島、大成建設、西松建設、ハザマ、伊藤忠商事の共同企業体(JV)が、2006年に東工区(約400キロ)を5400億円で受注した。
関係者によると、東工区のうち約6割は完成。工事が進むごとにJVに代金が支払われるはずだったが、アルジェリア側は構造が契約通りになっていないなどとして、1千億円超を支払っていない」
やっぱりという落胆の気持ちになりました。このような支払いに関するプロジェクトでのトラブルは以前からたびたびありました。
日本人は真面目にきちんと仕事を行います。海外でも同じです。ただ、真面目に一生懸命に仕事をしているのにそれが報われないことがあります。特に、海外では顕著です。それは、戦略的な契約概念の欠如、相手を信頼してしまいがちで悪意に対する防御ができない、国内以上に様々な考慮しないといけないステークホルダー対策を怠る、トラブルに対するなどリスク・マネジメントの欠如など、技術力以外のことが原因です。
今回のアルジェリアの件は、支払い条件に関するリスクを考慮した戦略的な契約知識不足ではないかと思います。海外での欧米の企業と比較すると日本企業は「やり遂げる」「お客様に迷惑をかけない」という姿勢は強いですが、途中でプロジェクトを中止しても利益が出来るような戦略的な契約を顧客と結ぶのは得意ではありません。
欧米の企業は、利益が出ないということがあればプロジェクトを中止しますし、かつ赤字にならないようにします。日本がこれから海外で利益を出すプロジェクトを行う上では、今の「やり遂げる」「真面目な」日本人の心意気は強い武器としながらそれと同時に戦略的なリスクを考慮した契約をクールに行うこと、これらの両方が要求されます。